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劇毒物系彼氏-4

か細く紡がれる痛々しげでいて甘やかな悲鳴。 「やっ……だ……嫌っ……嫌だ……ッ」 屋敷一豪奢な調度品が集う主の部屋。 帰還したばかりのボスに寝台に組み敷かれた式。 肌蹴た襟シャツ一枚になるまで手加減なしに未成年をひん剥いた三十一歳の隹。 飢えていた唇が真っ先に捕らえたのは胸の突端にて淡く色づき芽吹いた突起。 狡猾な舌先は二度の夜で知り得ていた弱点をここぞとばかりに攻めて露骨に濡らしていく。 コリコリと硬さを帯びて見る間に尖り出す乳首。 勢い任せに吸われると素直に膨張し、より芯を持ち、小刻みに爪弾いてやれば色味まで増した。 あれだけ募らせていた殺意を手放して式は喘ぐ他ない。 憎たらしい隹を押し返すことができない。 純白のシーツの上で飢えた若雄の言いなりになる体に心はただ嘆く。 「や、め……っいや……ッ」 唇だけが無様に抵抗して隹に抗う。 隹は平然と聞き流し、式を嬲り続ける。 薄い胸元に深くかぶりついては舌尖を小刻みに動かし、器用に突起をしごく。 自身の唾液で満遍なく濡らした片方の突起を革手袋越しに指と指で執拗に捏ね繰り回す。 忠実に膨れていく乳首の硬さを好きなだけ吟味する。 あられもなく肥大して充血した尖りを延々と吸い上げる。 「あーーーー……っっ」 激しく音を立てて吸われて式は哀れなまでに仰け反った。 熱い、体が……一度だって触られていない下半身が……。 そう。 真上に覆いかぶさる隹との狭間で式の熱源は隆々と育ち、痛いくらい脈打っていた。 気づいていながらも隹は残酷に無視を続ける。 式が弱いとする乳首ばかり猛然と苛む。 張り詰めた突起に浅く歯を立ててみる。 緩々と噛み解し、ジンジンと痺れてきたところを、乱暴に舐め回す。 式の股間でブルリと悶絶したペニス。 まだ誰の温もりも知らない雄茎は独りでに湿り、疼いて、長々と溜め込まれていた欲望の雫を汲み上げて。 「や……あ……ッッッ」 コートだけを脱いでダークスーツを着たままの隹に向け、式は……達してしまった。 成す術もなく弱いところばかりを攻め苛まれて嘆きながら射精した。 「はあ……ッはあ……ッ……!!」 一気に熱が上昇して汗ばんだ肢体。 粗相に至った式を隹は満足げに至近距離から見下ろした。 「難儀な体だな、式」 セピア色の髪を乱した式は隹を睨みつけた。 「も、こんなこと……ッ嫌だッ……」 切れ長な双眸から涙を溢れさせた。 「嫌だ……もう……帰りたい……」 ……凍てついていた俺の心を優しく癒やしてくれたあの場所へ……。 「戻りたい……あの旅館に……帰りたい、今すぐ、」 「お前が戻ればお前を探す暴君によって血煙が上がっても、か?」 式は目を見開かせた。 「それに、な……お前の居場所はあそこじゃない。お前が戻るのをこの俺が許さない」 わかりきっていた真実を改めて突きつけられて怯える式に愉悦し、隹は。 達したばかりでヒクついている式のペニスにやっと触れた。 上質の革越しに濡れた芯をゆっくり、搾るように、握りしめた。 「あ、あ」 「こんな業の深い体、そばに置かれた周りの奴らが気の毒だと思わねぇか……それとも周囲の真っ当な人間まで堕落させて道連れにしてぇのか、式?」 「ち、が……っ……あ、あ、んっ」 尖りきっていた乳首をべろりと舐め上げられ、ペニスをじっくりしごかれて、しなやかな体はガクガク震えっぱなしだ。 「っ……あ、待っ……隹、やめッ……なにやって……ッ!」 今度は熱源を貪られた。 手淫すら怠ってきた、経験値が非常に少ない性器をしごかれながら荒々しく頬張られ、蛇じみた舌に初心な頂きを蹂躙された。 嫌なのに、軽蔑しているのに、憎んでいるのに。 止められない。 獣みたいに発情してしまう……。 何度も何度も式を貫く傲慢な隹。 「あっ、あっ、やっ、奥っ、やだっ、だめ……ッッ」 幾度となく式を絶頂へ導き、自分は寸でのところで堪え、限界寸前なる絶妙な快楽にどっぷり浸かっては邪な奉仕によって心身が解れていく未成年を観賞するのに耽って。 「こっちはすっかり俺に忠実になったみたいだな」 時に言葉でも刺激してやった。 「俺のカタチに馴染んできた、ほら、わかるか」 「んーーー……っちが、ぁ……違う……っそんなん、じゃ……っ」 まだ果敢に抗う唇に心臓の裏をゾクリと粟立たせて。 「んっっっ」 最後の悪あがきを自分の唇でいとも簡単に封じてやる。 「なぁ、俺を殺すんだろう、式」 喉奥まで舐め尽くして微熱を掻き乱した後、上下の唇どころか口内まで自分の唾液で濡れ渡った式の切れ長な双眸を覗き込む。 「お前のためならいくらだって隙見せてやる」 「はーー……っはーー……っ」 「だから俺から離れるな、お前の帰る場所はここだ、ここだけだ」 シーツに力なく添えられていた手首をとると、隹は、式の掌を左胸へ招いた。 脱ぐひと時も惜しんで身に纏ったままのスーツ越しに自分の心臓を握らせた。 「……す、い……」 「目移りするな、式、お前がこの先仕留めるのはこの心臓だけだ」 「隹……っ……じゃあ……もう……」 おれのことひとりにしないで。 「ッ……式……」 より深く深く突き入ってきた若雄に式はしがみついた。 これまでやり過ごしてきた絶頂に爆ぜるように至り、唸るように呼号した彼に、身を委ねた。 「ん……いっしょに、いて……おれのこと忘れないで……ずっと……」 お前こそ俺のことを忘れて阿羅々木と一緒にいたんじゃないのか。 隹はそんな問いかけを丸呑みにし、無防備な雛のように擦り寄ってきた式にキスを。 唇だけじゃなく、頬、鼻先、額、こめかみに。 初めて目にしたときから心を囚われている世にも愛しい元殺し屋に気が済むまで口づけした。 「もっと甘えてみろ、式」 「……、……食べたい」 「は?」 「……お茶漬け……旅館で食べた、お漬物と、お茶漬け……食べたい」 「…………………………………却下だ」 嫉妬に荒れた隹のおかげでまた夜通し、ひねもす、求められた式。 「しっんじらんない、未成年にここまでする? 変態ど鬼畜!!」 「近いぞ、セラ、しかし妹の金切り声を浴びても目覚めないとは、な」 「……節度を知れ、隹」 ボスの部屋に集まった幹部三人。 欲深な睡魔の檻に再び囚われて深い眠りに落ちた式、そんな眠れる元殺し屋に添い寝して何故かドヤ顔でいる隹、呆れ返っている部下に言い渡した。 「お前等ちょっくら▲▲▲まで行ってお茶漬けと漬物買ってこい」 「職権乱用!!」 「それが本気の言葉なら暇をとらせてもらう」 「……式のためなら買ってきてやる」 「お前はいい、阿羅々木。セラ、今すぐ買ってこい」 「ふざけんな!!!!」 「まぁ、命はとらずともギリギリまでなら許す」 「……」 「唯一の獲物を他人の手に奪われないよう俺の心臓を守れ、式」 変な話だ。 いつか自分を殺す相手に命を守れ、なんて。 でもまぁ、確かに、他の奴に奪われたら面白くない。 この手であんたを守ってやる、隹。 その心臓の音を止めるのは他の誰でもないこの俺の役目だから。

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