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禁断症状末期双子/弟×兄
■「最初に誘ったのは兄貴だろ」
「だから、それは」
「自分じゃねぇ?」
「ッ隹、やめ、やめて」
「思い出せよ」
「嫌だっ、あんなの俺じゃない」
「お前だろ」
「……孕んで、兄貴」
隹と式は二卵性双子だった。
性格も外見も違う、傍目には家族にすら見えない二人。
違うからこそ仲がよかった。
幼い頃、優しい式は自由奔放な隹にいつも一番目を譲ってやり、オモチャやおやつを取り合うこともなく。
小学校も中学校も高校も同じ学校に通った。
苗字が同じだろうと自分達から告げなければ双子だと気づかれることはなかった。
「式、今日の夜何食う?」
「隹の好きなものでいいよ」
母親を病気で早くに亡くし、父親は医大の教授で国内海外問わず学会へ参加することが頻繁にある多忙な身、双子はマンションで二人きりの日々を過ごすことが多かった。
「牛肉とほうれん草の和風パスタ」
「おいしい。隹、また上手になった」
「料理人にでもなるか」
「じゃあ俺はウェイターになって手伝う」
十六歳、これまで通りの日々が続くのかと思っていた。
そんな矢先に。
「今、何て言った? 式が……こどもを? 孕む……?」
突然変異により男でありながらこどもを授かることのできる特殊な器官を持つこととなった式。
全世界においても一握り程度の極稀な症例であり、発症メカニズムなど解明されていない点が多く、隹も医学に携わる父親も突然の事態に大いに驚かされ、戸惑った。
しかし式本人は。
「すごいね、男なのにこどもを産むことができるって、奇跡みたい」
至って普通通りだった。
ただし、原因不明の症候群による発情期の間だけ式は我を失った……。
それから一年が経過し、双子は十七歳になった。
不定期なる発情期の兆しが出始めれば学校に一週間ほどの欠席を申し出、式は、大学病院長である父方の祖父が持つ別荘で日々を過ごす。
「はぁ……はぁ……っ」
理性が飛んだあられもない様子を周囲に見せるのは憚られて父親がそうさせていた。
何事にも手がつかない、容赦ない疼きに蝕まれた体を持て余す式の面倒を見るのは。
「式。今日、まだ水すら飲んでないだろ」
双子の弟の隹だった。
同じく学校に欠席届を提出し、夏は快適な避暑地、冬は閑散とした辺境と化す雑木林添いの別荘で式の世話をする。
父親も、部外者に依頼するよりも家族であり式の片割れである隹が世話をしてくれる方が安心でき、最近ではすっかり息子に息子を任せ切っていた。
二階建ての暖かみあるログハウス。
窓から常緑樹の真緑が一面に覗く、緩やかな傾斜の天井が印象的な部屋から正午を過ぎても出てこない式の元へ隹はやってきた。
「隹……」
乱れたベッドから届いた掠れた声。
白で統一された寝具に塗れるようにして横たわった式がそこにいた。
隹は両手に携えていたペットボトルとグラスをサイドテーブルに下ろし、常温のミネラルウォーターを注ぎ、ぼんやりしている式の口元へ差し出しかけて。
急にグラスを傾けて自分の口に含ませると唇伝いに式に飲ませた。
父親はもちろん知らなかった。
隹が式の性処理まで行っていることなど、何一つ。
「あ、ん、あ……あ……」
快楽の涙に満たされて危うげに艶めく式の切れ長な双眸。
白いベッドの上で全ての肌を曝した彼の手は、押し開かれた両足の狭間で緩やかに上下する片割れの頭に添えられていた。
「隹……隹……」
自分の口内ではち切れそうなくらい熱く昂ぶる式のペニスを隹は舌先で隈なく愛撫してやる。
止め処なく溢れてくる先走りの蜜を舐め上げ、張り詰めた先端をしゃぶり、露骨に吸い、鈴口を細やかに刺激する。
すでに唾液で潤った肉芯に五指を絡めては撫で擦り、熟れたように膨張した双球まで揉み転がして、そして。
「っ、あ」
長く筋張った指が双丘の狭間に差し込まれ、下へと伝い、中指の先が後孔を訪れた。
夜明け近くまで抉じ開けられていたソコはそれでも窮屈な締めつけでもって隹の指を出迎える。
長時間に及んだ交わりを忘れ切ったかのように悶々と狭まるナカへ、薬指も捻じ込まれると、隹の口内で式のペニスはもどかしげに跳ねた。
「ッ……俺の口の中でずっとビクビクしてる、お前の」
「きもちいい……指、きもちいい、隹……」
「どこが一番いい」
器用な指で肉奥を探り回されて式は身を捩じらせた。
「そこ、そこがいい……俺の奥……いっぱい……して……」
普段は物静かな式がこの時ばかりは冗舌になる。
全身を犯し尽くす疼きに屈して隹を大胆に誘ってくる。
「ここか?」
「あ、あ、あ、あ」
シャツ越しに隹の肩を両手で掴んで式は仰け反った。
「あーーーーー……っっ」
舌の上に広がった濃い苦り。
隹は躊躇なく呑み込む。
どこもかしこも敏感化している雄膣の内壁を念入りになぞりながら一滴残らず喉奥に迎え入れた。
「あっ……あっ……あっ……」
ビク、ビク、肢体を痙攣させて達した式。
それでも熱は失われずにその身を犯し続けている。
欲しくて、欲しくて、堪らない……。
「隹、もう……おれ、また……あぅ……」
ろくに言葉を発することもできずに、式は、枕元に散らばっていた四角形を一つ取り上げた。
「お願い、隹……お願い……」
手渡されたソレをピリ、と破って、下肢の服をずり下ろして取り出した我が身に隹は手慣れた風にとりつける。
そんな一連の作業を潤みきった双眸で見つめていた式に覆い被さる。
物欲しげにヒクついていた後孔へ反り返っていたペニスを一気に突き入れる。
「あん……っ」
可哀想な式。
愛しい式。
「あっあっ……ん……っん……」
夕方前、まだ日の光が窓の向こうから届く浴室で隹は式を綺麗にしてやる。
愛撫するついでに洗っているといったところか。
「式の乳首、すぐ尖るようになったな」
自分は服を着たままシャツもズボンも捲っているのに対し、この別荘ではほとんど裸でいる式の胸元を泡立てる。
ボディソープを馴染ませた両手で平らな胸を揉み回すように、掌の中心でコリコリした突起を擦らせるように。
「こどもが産まれたらミルク出るのか?」
指と指で摘まんで引っ張り上げ、絶え間なくしごいてみる。
「んんん……っ……はぁっ……」
普段はうっすら色づいている程度が、今はピンク色に上気して尖りを帯び、これでもかと存在を誇張している。
下肢の茂みの中央では相変わらず発熱したペニスがピクピクと虚空で波打っていて、むしゃぶりつきたくなる嬌態を写し出す鏡から隹は視線を逸らせない。
『隹、おいしかったよ、ごちそうさま』
発情期になると式は人が変わったように性欲に明け暮れる。
何かに取り憑かれてるみたいだ。
「隹……」
背後に居座る自分の胸にもたれ、上目遣いに式に見上げられて、強請られているとわかった隹は。
ポケットに入れていた四角形を取り出した。
片割れの発情に速やかにつられて同様に昂ぶっていたペニスに取りつけ、まだ肌身に泡が纏わりついている式を立たせて、タイル壁に両手を突かせる。
ズキズキと痛むくらいに勃起した肉塊を式の雄膣に根元寸前まで捧げ込む。
音が立つほどに肌を打ち鳴らして奥まで激しく何度も突き入れる。
「やっ……っすごいっ……もっと……もっと、隹……っ」
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