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kill me slowly/ヤンデレ×記憶持ち

■「グチャグチャに掻き回して、突いて、何度も」 「……隹」 「女なら妊娠するくらい」 いつだって傲慢で不遜で残酷で。 独りよがりな暴君。 殺すように俺を愛する人。 ねぇ、隹。 次の世界では、貴方と二人、幸せになれるかな。 その出会いは運命というより宿命。 「式? 変な名前」 彼は一つ年上で腹違いの兄だった。 こどもながらに鋭い眼差しをした、隹という名の定めだった。 隹は昔より地方の集落を支配してきた地主の家系にあった。 放蕩三昧で名の知れていた彼の父親は、嗜虐心を誘う、蜻蛉の翅の如き薄幸な使用人の女をかつて強姦した。 町議会や警察組織といった土地の有力者とも深い関係で結びついている家筋相手にどうする術も持たずに、彼女は、一人屋敷を逃げ去った。 そうして式は<この世界>に生まれ落ちた。 五歳まで優しい母親と穏やかなときを過ごし、白昼に起きた通り魔事件、目の前で愛する家族を失い、そして。 家族であり外敵でもある男に引き取られた。 下卑た愛情を一身に受けて育った。 母親によく似ている、おぞましい子守唄を夜毎聞かされながら昏い眠りについて。 それでも式は絶望に呑まれることなく、自ら死を選ぶことなく、生きた。 唐突なる殺意を振り翳されて逃げ惑う人々の悲鳴が行き交い、自分を庇った母親が背後から醜い狂気で突き刺された記憶よりも。 酒臭い息をすぐ耳元で吐かれながら、時に口内にまで注ぎ込まれ、実の父にその身の奥深くまで蝕まれた記憶よりも。 もっと残酷な記憶を持っていたから。 <別の世界>で散々狂わされてきたから。 『目も耳も。腕も足も。二つもいらない。俺だけを感じるには一つずつ。それで十分だろ』 式は<この世界>以外の思い出を持っていた。 <全ての世界>で彼は彼に出会い、苦しめられ、狂わされ、そして。 『愛してる、式』 「いつか殺してやるよ、あの豚」 <この世界>で同じ学校に通い続けていた二人。 開け放たれた窓から深い濃い緑の匂いが木造校舎に吹き込む中、窓際の机に腰かけた小学生の隹は笑いながら式に言った。 数年後、彼はそれを実行した。 誰に知られることなく実に鮮やかな手口で大人達を欺き、嘲笑い、父親殺しを完璧に遂行してみせた。 「これでお前は俺のもの」 うん、知ってたよ、隹。 どの世界でも俺は隹に出会って、そして……。 夜、草木の鬱蒼と生い茂る庭園に虫の音が延々と鳴り渡る。 「式」 喪に服すべき身でありながら。 父を殺し、非日常の昂ぶりに貫かれることもなく日常にあっさり帰還していた隹は式の背に欲深く重なる。 「冷たいな、お前」 式は十七に、隹は十八になっていた。 浴衣の合わせ目から潜り込んで肌身を直になぞる掌。 肌布団の中で横向きに寝ていた式はじっと黙り込んだままでいる。 夜に容易く溶け込めそうな黒衣の隹は式の無反応ぶりに苛立つでもなく薄闇に小さく笑った。 「熱冷まし」 そう呟いた唇をうなじに押し当てる。 鋭い双眸を半開きにし、冷えた肌の感触を味わいつつ、今度は太腿へ片手を這わせていく。 「さすがあの豚のこども、そう思ってるか」 大胆に肌蹴させて中心へ。 屋敷内にて下着の着用を一人だけ禁じられており、当主が死んだ今でも身に着けていなかった腹違いの弟の股座を大胆にまさぐる。 静寂を保っていた性器が執拗な掌に次第に張り詰めていく。 父親にはただ萎えていたペニスが素直に勃起していく。 「血の繋がった家族を夜通し犯しまくりたい、確かに豚の思考だよな」 「……俺だってその血を引いてる」 それまで無言でいた式が口を開き、滑らかな肌を啜っていた隹は顔を上げた。 物憂げな翳りを宿した切れ長な目が肩越しに兄を見つめていた。 微塵の躊躇もない愛撫にすっかりペニスを硬くさせ、涼しげな浴衣の下で火照らされた弟は、夜気に映える鋭い眼にそっと呼びかけた。 「隹兄さん」 呼号された隹は堪らなくなって式に口づけた。 向きを変え、押し倒し、浴衣が乱れて露となった両足の間に割って入ると欲望のままにキスを続けた。 男らしく成長した体躯がしなやかな細身を覆い隠す。 互いの唇を行き来する舌先。 唾液に塗れ、縺れ合って、絡まる。 ほの白い障子の向こうから聞こえてくる秋の夜長の音色に卑猥な水音が加わった。 「なぁ、式、いいか」 いつになく急いた手つきで前を寛げ、式よりも逞しく育ったペニスを取り出し、近親者のみが知る蕾孔をなぞった隹。 「お前の奥まで。これで」 その先に欲してやまない熱い抱擁を予感し、途方もなく待ち遠しくて滾る隆起を入口に押し当てる。 「掻き回して、突いて、何度も」 「……隹」 「女なら妊娠するくらい」 ぐっと力が込められた。 肉圧に逆らい、ぐ、ぐ、ぐ、内側にめり込んでくる。 意外なまでに狭苦しい尻膣に隹のペニスが挿入されていく。 「ッ……にい、さ、ん」 「お前が男でよかった、式」 女だったらとっくにこどもが出来上がってる。 「ッッッッ」 式は目を見開かせた。 <別の世界>で女だったこともあった、新しい命を授かったこともあった。 それを隹が。 「いや……ッ」 咄嗟に拒んだ式に隹は突き入れた。 一息に根元まで。 渇望していた弟を根こそぎ手に入れた。 「くッ……は……ッッ」 式は思いきり喉を反らして真上の隹に急所を曝した。 猛烈に蠢く体底。 骨身から溢れ出る激情が隹のペニスに牙を立てる。 「ッ……想像以上」 「はーーー……ッはーーー……ッ」 式は涙ながらに隹を睨みつけた。 <別の世界>の記憶などあるわけがない隹は次から次に伝い落ちる涙を拭ってやる。 「動かすぞ」 容赦ない締めつけを食い荒らす。 この屋敷にやってきた頃から感情に疎かったはずの式に真っ向から激情を叩きつけられ、さらに全身を滾らせ、思いのまま突く。 「式……もっと睨めよ」 『綺麗な爪だ、左手からも一枚、ほしい』 「俺だけを憎めばいい」 『そろそろ新しい首輪にしないと窒息しそうだな』 「俺にだけ感情を持て」 いつだって傲慢で不遜で残酷で。 独りよがりな暴君。 殺すように俺を愛する人。

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