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毒を喰らわばついでにお前も食っとこ-2
ノックに促されて式の上司が扉を開いてみれば思いがけない訪問者が通路に立っていた。
「無宿の……」
「突然、すまない」
上司はとりあえず無宿の二人を部屋に招き入れた。
隻眼で赤髪の男は卒がない立ち居振る舞いで中へ入り、一方、女の方はどこか萎れた様子である。
仲間の負傷が余程堪えたのか……。
「単刀直入に聞くが」
「ふむ、何だ?」
赤髪の改まった物言いに上司は居住まいを正して聞き返した。
「隹とそちらの連れは恋仲にあるのか?」
「……恋仲とは?」
「添い遂げる心積もりがあるのだろうか」
「……添い遂げる……」
「今、そちらの式殿と隹がーー」
「兄さん、もうやめて!」
実は密かに式を恋い慕っていた女が突然泣き出した。
兄と呼ばれた男は物静かな眼差しで泣きじゃくる女を見、次に上司を見、困ったように微笑んだ。
「別に私は反対しないが、あのような場面を見せられると、どうしたものかと……」
「……」
隹に真上から突き上げられて式はしなやかな背を仰け反らせた。
「あ……ッ」
修道女にも劣る間延びした腰遣いに痺れを切らした隹は目の見えぬ体でありながら容赦ない律動に至った。
初めての行いに式は堪えきれない声を上げる。
戦闘で負傷しようと決して弱音を吐かない彼がはだけたシャツ一枚という格好で嫌々と首を左右に振り、男を跨ぎ露骨に喘ぐ様は、式を知る者にしてみれば至極有り得ない光景に違いない。
肉の狭間を掻き乱す強靭な熱源に自分のそれもまた硬く張り詰めて白濁の蜜に塗れ始めていた。
「……意外と可愛い声を出すんだな」と、揶揄めいた台詞を隹から投げつけられる。
言い返そうとしたらより一層奥を突かれて情けない悲鳴を上げる羽目になった。
「手管は非常に不味かったが……中はいいな……気に入った」
この人でなし……と、出かかった言葉を熱に浮かれた身でありながら式は何とか押し留めた。
「キスしろよ、式」
隹に命じられた式は何ともぎこちない動作で上体を前に倒し、目元を包帯で覆われた男に止む無くキスをした。
すぐに唇を割って入ってきた舌先が口腔を好き勝手に蹂躙する。
その間も律動は一向に衰えず、淫らな水音と共に式は呻吟した。
「ふ……ぁ、ん……ッ、んん!?」
急に体勢が変わった。
下にいた隹が式を抱き抱えて反転し、位置が入れ代わる。
素早く身を起こした彼は式の足を大胆に開かせると無情にも腰を密着させた。
力んだ先端で最奥を抉るように突く。
上下、左右に腰を揺り動かしては屹立した隆起の侵攻を貪欲に広げていく。
「や……ッ、だめッ……そんなの……ッ」
出したくもない声が勝手に出る。
自分からこんな言葉が発せられるなんて信じられず、とんでもない羞恥であったが、式はただ快楽の波に流されるしかなかった。
不意に大きな掌が肌の上を彷徨い出した。
式は耐えかねて身を捩じらせる。
「細身の割りに鍛えてるな……」
程よく筋肉の備わった胸板を撫で回し、ピンと勃ち上がった胸の突起を探り当てると執拗に捏ね繰り回す。
そしてさり気なく割れた腹筋を辿り、茂みを過ぎ、先走りに濡れたお目当ての手応えに隹は唇を吊り上げさせた。
「何だ、感じてるじゃないか、お前も」
「あ、待っ、隹……!」
急速に扱き立てられて式は甘い声音を迸らせた。
筋張った五指に荒々しく撫で擦られて腰が勝手に跳ね上がる。
何度も浅く深く突き入れられて理性は崩壊寸前だ。
いっそ何もかも忘れてこの凄まじい抱擁に身を委ねた方が楽……と、らしからぬ思惑が湧いてきた。
「どこがいい? ここか?」
「あッ、そこ……そこ、もっと……ぁッ、ぁッ」
「こんな奥がいいのか」
「っ……すごい……」
「案外、欲深いな、式」
グチュグチュと肉の奥を掻き混ぜる音が部屋の静けさに絡みつく。
簡素な寝台は始終悲鳴の如き軋みを奏で、そこに式の色めいた声音が上乗せされる……。
「あ……!」
式の背中を抱いて隹が上体を起こした。
膝上に座らせて形のいい引き締まった双丘を遠慮なく鷲掴みにし、突き上げる。
濡れそぼつ式の隆起は鍛えられた隹の腹筋と接触し、えもいわれぬ摩擦に彼は乱されていく一方だ。
「お前に出したいな、式……」
怒張した隆起で肉壁の奥を執拗に擦り上げながら隹は囁いた。
「出してもいいか?」
「だ……だめだ、それだけは……ッあ、あぁ……やぁッ」
「いいだろ?」
「や……ッあ、あ、あ……ンン……す、い……ッ」
激しく揺さぶられ、勃起した突起を吸い上げられて。
式は咽び泣くように声を上げる。
歯列で緩く解されれば内腿を痙攣させて腰をひくつかせた。
「出すぞ、式……」と、隹がさらに勢いをつけて腰を打ちつけてくる。
仰け反った式はされるがまま身を揺らして最早迎えざるをえなかった。
「あ」
膨張した隆起の先から式の肉の内へと白濁の飛沫が放たれた。
「あ……ッあ……ッあ……ッ」
隹は何度か大きく腰を揺り動かして最奥まで飛沫を打ちつけてきた。
初めて与えられた感覚に式は全身を震わせる。
自身もまた隹の肌に勢いよく放精し、虚脱寸前のひと時に心身を甘く痺れさせた。
「はぁ……は……ぁ」
無意識に真正面の隹にもたれかかる。
鍛え上げられた肉体の感触は心地よく、吐精の余韻に浸る式は恍惚となりかけていたのだが。
「あン」
ずるりと身の内から隹の隆起が引き抜かれてつい声を上げた。
「今のお前を見れなくて残念だ」
何気ない隹の呟きに式の意識はいくらか鮮明となった。
そうだ、これくらい何だ……己の体をいいように扱われるくらい……どうって事ない……どうって事は……。
「……」
式は驚愕した。
つい先程自分の中で達したはずの彼のものが未ださめやらない熱に漲っているのを目の当たりにし、自責の念に苛まれるどころではなくなった。
「今度は掃除してもらおうか」
「……は?」
「お前の口で、な」
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