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Thrill-2
隹は会心の笑みを浮かべた。
しがみついていた式を引き離し、荒々しい手つきでベッドにうつ伏せにすると、羽織っていた漆黒のコートを脱ぎ捨てる。
そのまま、腕章をつけ深靴を履いた正装の出で立ちで下肢だけ寛げ、紅潮した裸体を自分の腰元へと引き寄せた。
「あぁぁぁ……ッ」
色濃い肉茎で貫かれて式は喉を反らした。
ベッドから引き摺り下ろされた両足で床を踏み締める。
痛みを上回る途方もない快楽の波に耐えるため両手はシーツを掴み、無数の皺を刻んでいた。
隹は程よく引き締まった臀部に両手を添え、奥まで捻り入れていた肉茎をゆっくりと途中まで引き抜いた。
「ぁ、ッ……ん」
肉の内壁が擦れる感覚に過敏に反応し、式は熱く濡れた眼差しで隹を肩越しに見上げた。
「ッ、少佐……殿……」
「貞操は守っていてくれたようだな」
隆々と勃ち上がった肉塊を容赦なくきつく締めつけてくる肉壁の抱擁に、隹は満足し、早急な加速をつけて動き出した。
荒いピストンに式はシーツの上で嬌声を上げた。
我慢する余地など皆無だった。
貪欲な腰つきに理性や羞恥心を打ちのめされ、肉欲の虜となり、肢体を強張らせてしどけなく昂揚した。
「ぁッ……ン、ぁッ……や……ッ……少佐ぁ……ッ」
シャツが捲れて覗いた、さも滑らかそうな感触の背中が肉を打つ度に波打つのを隹は見下ろしていた。
汗ばんだ背筋を爪先で何度か引っ掻くと、またも甘い声が惜しみなく上がる。
声の出方の違いで快感のポイントを探り当て、的を絞り、集中的にそこばかりを攻めた。
「あ、そんな、ッ、やめ……ッ、あ、あッ」
拒む言葉など聞き入れなかった。
弾みで出ただけでそこに意味などない。
隹は火照った背中へ戯れに質問を投げかけてみた。
「そうか、なら、終わりにするか?」
唐突に激しい律動が中断されて、式は涙目でもう一度隹を見やった。
「いいえ、まだ……」
「続けたいか」
「……まだ……」
「まだ物足りないんだろう」
隹が大きく緩やかな動きで尻の肉を突くと式は掠れた悲鳴を出した。
普段は誰よりも生真面目な優等生であるこの部下が、表情を淫らに濡らし、白い肌が花弁を散らしたように赤く染まる様はなかなか壮観だった。
同階級の人間に的を射た鋭い指摘を与える唇から、上擦ったため息と共にあられもない哀願を口にさせたい。
感覚の研ぎ澄まされたしなやかな肉体に眠る欲望を、様々な手段を講じて暴いてやりたい。
何なら子飼いにしたいくらいだ……。
隹は双丘の窪みに深々と差し込んだ隆起で肉の内を掻き回し、露骨な水音を奏しながら、不敵な笑みを洩らした。
「あ……!」
下肢を繋げたまま体位を変える。
仰向けにされた式の肉茎は白濁の蜜を垂らして屹立していた。
隹は彼の両足を脇腹に抱えて前のめりとなった。
「駄目です、少佐……ッ」
再び式は隹を止めた。
己の白濁で上官の上物である軍服を汚しかねないと、咄嗟に正気に返ったのだ。
本気の言葉だった、しかし隹は離れるどころか、浅くなっていた繋がりをより深くへと戻し、伸ばした手で式の片頬を覆った。
「汚してみろ、式。俺は構わない」
親指が下唇を幾度かなぞり、おもむろに舌の上へと進んできた。
式はさらに双眸を潤ませて口の中の違和感に熱っぽい息を洩らした。
ぎこちない舌遣いで恐る恐る上官の指を舐って唾液を濃厚に纏わせる。
律動が再開されると音を立てて啜り、喘ぎながらもむしゃぶりついた。
「……ぁ、ふ……ッ、ん、ん、ん」
隹は下肢の動きに似せて式の口腔に指を突き入れた。
さも肉茎の代用と言わんばかりに、窄められた唇の狭間を行ったり来たりさせる。
式はリズミカルな律動に魘されながらも上官の指に歯を立てぬよう何とか己を牽制し、吸い上げてばかりいた。
「ぁ、少佐……ッ」
突然、片足を持ち上げられて式は仰け反った。
隹がその肩に片足を担いで攻める角度を変えてきたのだ。
今まで触れていなかった肉壁の箇所を抉るように苛まれてより甘い悲鳴を零し、式は自分の腹部へと昂ぶりを勃ち上がらせた。
我を忘れて大胆に腰をくねらせ、一段と濃密に交わるようにする。
鼓膜に粘りつく水音がシーツの上でふんだんに奏でられた。
「お前は堪らないな、式……」
やがて服を脱ぎ、完璧に鍛え上げられた裸身を曝して隹は式を抱いた。
シーツの中央にあぐらをかいた状態で式の上半身をきつく抱き締め、ベッドを軋ませて何度も深く突き上げる。
上下に体を揺さぶられて式は嗚咽し、快楽の波に陶然と溺れていた。
力強く張った肩を握り締め、見栄えよく割れた腹筋に己の蜜を絡ませ、時折首筋を啄ばんでいく飢えた唇に声を詰まらせた。
「どうだ、いいか、式」
「ぁ、ぁッ、いいです……ッ、ぁ、もっと……はぁ……少佐、もっと……」
理性をかなぐり捨て切なげに希う式に隹は改めて満足した。
危うい震えに背筋を戦慄かせ、依然として静まらない肉欲の火に猛然と体を包まれて、さらに欲情する。
熱い肉の襞に沈めた肉茎でもっと奥を露骨に掻き乱す。
するとすでに身の内へ溢れていた白濁が狭間から絞り出されて双丘へと伝い落ちていった。
隹はその辺りへ両手を伸ばした。
挿入への抵抗をさらに和らげようと五指を広げて強めに尻の肉を掴む。
無造作に左右へ押し開いて、暴力的なまでにピストンした。
「やぁぁッ……ぁ……ッ」
式は隹にしがみついた。
臀部は白濁に濡れ口元は唾液でだらしなく滑っている。
彼は、最も濡れそぼつ肉茎をとうとう自分自身で弄り始めた。
快楽に朦朧となって喘ぎつつ形のよい指で一思いに扱き立て、隹にもどかしげに擦り寄る。
息を切らして待ち遠しい極みへと急いだ。
「あぁぁあ……ッ……!」
形のよい指の隙間から勢いよく白濁が放たれた。
自分自身の口元にまで雫を弾くような奔放的な放精であった。
急に強まった締め付けに隹も次いで達した。
肉壷の奥深くにまで捻り入れていた先で大量の白濁を一息に注いだ。
「ひあ」
式は背中を弓なりに反らして打ち震えた。
ツンと立った胸の突起の縁がうっすらと濡れていて、下肢も白濁した蜜に塗れていた。
放たれた雫は隹の肌にも届いており、腹筋の辺りをぬらぬらと光らせていた。
しばらく勢いある射精の名残に呼吸を乱していた式だったが、次第に快楽の波が静まっていくと、肉欲に魘されていた双眸を何度か瞬きさせた。
「……も……申し訳ありません」と、紅潮した体を隹から離そうとする。
隹はそれを許さなかった。
そう。
これがあるから愉しくて堪らない。
回復した理性を再び直ちに手放させる。
平静へ逃れたがるお前を肉欲の奈落に突き落とす、その堕落ぶりを一番間近に鑑賞できる。
「少佐殿……」
「まだ始まったばかりだぞ、式」
胸の突端に咲く薄赤い色彩を歯列で噛み解し、達したばかりの昂ぶりを掌で蹂躙し、隹は式を再び快楽の海へと引き摺り込む。
己も溺れて足をとられかねない、その危うくも癖になる極上の緊張感に身を震わせながら。
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