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捕虜も孕むンです-3

捕らわれてから、この、たった数日間で。 これまでの人生において経験のなかった、これから先知るつもりもなかった快楽を敵に叩き込まれた。 「ふ……ぁっ……っ」 それは式の心身を凌駕した。 性なる本能を暴き立てられて、抗う術もなく、浅ましい虜囚と成り果てた。 「ンぅ……は……っ……っ」 クチュ、クチュ、口内で紡がれる水音。 濡れそぼった舌同士の密やかな戯れ。 密着した唇の隙間から生温い雫が溢れていく。 「今夜もとことん堕としてやる、式」 舌尖を浅く交わらせたまま隹に囁かれて式の体は勝手に震え上がる。 凶暴な疼きに巣食われる。 濃く深い口づけに、下肢への愛撫に、気高いはずの心が、理性が、狂わされて……。 「ん?」 不意に隹の猛攻が中断された。 すでに喘ぎかけていた式は、途端に、耳まで赤くなる。 「お前、何だ、これは」 「……知らん」 「こんなところに、こんなもの、昨夜までついてなかったじゃねぇか」 「知らんッ」 シリアスモードはどこへやら急に間の抜けた二人。 「お、お前のせいだ、きっと」 「は?」 「お前が夜毎俺の体を……ッ好き勝手にするから……ッお前のせいだ!」 今朝、式に訪れたばかりの異変。 男性器と後孔の狭間にいつの間に出来上がった緩やかな亀裂。 「こ、こんな体で、もう、仲間の元には戻れない……ッ俺は完全に居場所を失った……ううう……!」 隹にバレて完全に取り乱した式、初めて目の当たりにする捕虜の狼狽に敵幹部もしばし呆気にとられていたが。 隹と言う男は実に単純にできていた。 欲しいものは何が何でも奪う、そういう思考の持ち主だった、自分の目で見たものしか信じない、そしてそれがどれだけ非現実的であろうと自身の五感で確認したものはすんなり受け入れる性格だった、だから。 「あ……っ?」 壁際に追い込まれていた式は狼狽する余り涙ぐんでいた目を見開かせた。 指先が露出する革手袋をはめた隹に亀裂を撫で上げられた。 未体験の感覚にゾクリと背筋を戦慄かせる。 「さわ、る、な、隹ッ」 「コレができたってことは、お前、孕むのか」 式は即戦慄した。 「や、やめろ、ふざけるなッ、誰がお前のこどもなどッ」 「お前が孕めるなら。同胞の女には手を出さないでおいてやる」 「ッ……鬼畜がッ、外道めッ、恥を知れッ」 「孕めよ、式」 「っ……さわる、な……っいやだ……っ」 「ちゃんとコレだってつけてんじゃねぇか……なぁ?」 「ッ、ッ、ッ……ソコ、変だ……っやめ……」 さらなる甘い深い堕落に突き落とされることになる捕虜。 一目見た瞬間から求めていた式にどこまでも溺れていく隹。

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