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あなたはヴァンパイア-2
ある夜のこと。
「式。入るぞ」
地下監禁室の頑丈な扉前で無駄話一つすることなく寡黙に見張っていた直属の部下を休憩に出し、有能で冷静沈着、最も統率がとれている第一部隊の部隊長が式の元へやってきた。
「やはり地下は一段と凍えているな」
幹部の一人である繭亡 少佐だ。
艶やかな赤髪を組紐で一つに縛り、隻眼、左瞼には一文字の傷が刻まれていた。
惨たらしいはずの傷跡はむしろ彼の眉目秀麗な顔立ちを際立たせている。
黒の軍服に腕章、ネクタイをきちんと締め、よく磨かれたブーツが石床を小気味よく鳴らす。
武器、ワイヤー仕込みの鞭、一度に複数体の肢体切断が可能。
「苦しいだろう、口枷を外してやる」
性格、紳士。
「ガブリと来ないでくれよ」
吸血鬼にも様々な派閥が存在している。
人間を皆殺しにしようと企む好戦的なグループもいれば和平を望むグループもいる。
最初、式は前述の一派に、しかし時を経て尊い出会いを経験し、後述の一派に身を置くようになった。
過去に磨かれた殺傷能力は封印した。
今はまだ幼きリーダーのために身を尽くして人間との共存の道を探していた。
「すまない、繭亡」
口枷が外され、もちろんガブリするような非道な真似はしない式はやっと人心地ついた。
繭亡は正面で両手首に手錠をかけられている彼の前に跪くと革手袋の手で顎をくいっと持ち上げた。
「傷は癒えたようだな」
「……ああ」
「だが内側の傷はまだ治っていないようだ」
血や土くれで煤けた頬を上質な革手袋でなぞられて式は意味深に眉根を寄せた。
「すまぬな。あの通り、阿羅々木は嗜虐趣味の塊、隹は傲慢身勝手な輩、治ったかと思えば新しい傷で上塗りされる」
そう言う私も同類であることは否めないが。
血の滴りにも似た色合いの唇を上品に歪めて薄く笑った繭亡から式は顔を逸らし、ぽつりと呟いた。
「……勝手にしろ、俺は男だ、体を暴かれたところで痛くも痒くもない」
「あっ……あ……っいや……ぁっ」
凍えた地下室で夜な夜な繰り返される淫らな拷問。
敵幹部は捕虜に性的虐待を行っていた。
血の気の多い女性兵士よりも遥かに色気のあった吸血鬼にここぞとばかりに自前の杭を奮ったのだ。
「どうした、式……痛くも痒くもないのだろう?」
繭亡は冷たい石床に座り込んで捕虜を膝上に抱き上げた。
上には至るところが切り裂かれた黒っぽい襟シャツだけ、下は何も履いていない式が仰け反りながら陶然と喘ぐ姿に血の色をした上唇を満足そうに舐め上げた。
「まゆ、な……ッ」
「お前のような綺麗で淫乱な吸血鬼は初めてだ」
「ッ、淫乱じゃないッ」
「そうか?」
でもこんなに硬くしているぞ?
艶めく声でそう囁かれ、熱く硬く育っていたペニスを握り込まれ、式は目を見開かせた。
「あ、だめ、いや、だ」
「戦いよりもコチラの手管を仕込まされたか、式?」
「ッ……侮辱するな!」
「すまぬな」
すぐに侘びた繭亡は式の引き締まった尻を鷲掴みにして揺さぶった。
窮屈な尻膣に幹部ペニスが擦り上げられる。
あたたかい肉膜が精を搾りとるように緻密に収縮し、まるで名器の如く陰茎を手厚くもてなす。
「お前のココは居心地がいい」
得意じゃない台詞を捧げられて式は涙目で敵幹部の一人を上目遣いに見やった。
手錠をかけられた両手は然して軍服を乱していない繭亡の肩に預けている。
「やはり……お前等は愚かで哀れで……欲深い」
意思の疎通が比較的可能な敵を式は憐れむ。
憐れみを施された繭亡はさらに微笑を深くした。
「そうだな、我々は吸血鬼が血に飢えるよりも欲に飢えているかもしれないな……このように」
「あっっ!」
式の滑らかな首筋に繭亡は深く吸いついた。
まるで逆だ。
「あ、あ、あ」
「私の痕をつけた、これはどれほどの時をかければ癒されるかな」
「こ、んなこと、何の意味が……ッ」
「痛くも痒くもないのだろう?」
一筋の涙を流して限界まで仰け反っていた式の頬にキスをし、繭亡は、囚われの吸血鬼の仮膣最奥まで自身の子種で我が物にした……。
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