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ヴァンパイアはあなた-6

「嫌だ……!!」 地下の牢獄から聞こえてくる捕虜の拒絶。 夜毎繰り返される荒淫に決して自我を失わず、歯を食い縛って刃向かい、吸血鬼への殺意を新たにする。 どれだけ無様に捻じ伏せようと怒号をやめない捕虜の式に隹は今宵も魅入られる。 「お前は本当に犯し甲斐があるな、式?」 「ッッッ……!!」 頭上で両腕を鎖に縛り上げられ、片足を持ち上げられて正面から密着した下半身。 突き破る勢いで捕虜の仮膣に我が物顔で出入りする屈強な肉杭。 いつにもまして凍てついた夜はいつも以上に長く感じられて。 また意識を失った式は夢を見た。 正確に言うならば過去の残像だ。 目の前で吸血鬼の残酷な牙に喉を切り裂かれた両親。 血飛沫で染まった視界。 「あ……嫌だ……嫌……」 助けられなかった。 俺が森に行かなければ、父さんのいうことを聞いて家にいれば、母さんのそばで看病をしていれば。 『……優しい父と母に育てられたんだな』 あの日、あの森にいた吸血鬼は。 この頭を撫でた吸血鬼は。 『今は眠れ』 「……おかあさん、おとうさん……」 そこで式は目を覚ました。 心身を蝕むほどに凍てついた地下牢の床ではなく温かな寝台の中で。 瞼を開けば双眸に溜まっていた涙がこめかみへ音もなく落ちて。 「式」 寝台の傍らに立って魘される捕虜を見下ろしていた吸血鬼はその名を呼んだ。 過去の悪夢に発熱して汗ばんだ額をゆっくり撫で上げる。

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