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ヴァンパイアはあなた-7

「怖い夢に捕まって怯えるなんてガキみたいだな」 隹に笑われた式は寝起きで弱々しいながらもその手を振り払った。 「……俺に触るな」 そこは隹の部屋だった。 夜明けはまだ先だ。 城を囲うようにして四方に広がる森は静謐な闇に閉ざされている。 「熱病を案じて連れてきてやったのにひどい言い草じゃねぇか。躾がなってないな」 ミリタリージャケットを羽織ったままの隹に揶揄されて無謀にも言い返そうとした式であったが、頭痛がひどく、上体を起こしたものの身じろぎ一つするのも苦痛で。 この城に捕らわれてからというもの、ふとした瞬間に何かを思い出しそうになる、今だってそうだ。 だけど頭痛が邪魔をしてうまくいかない。 掴みどころのない焦燥感に悪戯に弄ばれるだけ……。 それによく夢を見る。 厳しくて優しかった父さんと、ただただ優しかった母さんが目の前で……。 「く……」 寝台で式は頭を抱え込み、傍らに立つ隹は青水晶の双眸で苦しむ捕虜を見つめた。 「弱者は大変そうだな。悪夢に追われて逃げ場がない」 「うるさい、黙れ、クソ吸血鬼……ッ」 暴言は健在である捕虜に隹は声もなく笑った。 哀れで無様で。 俺の欲を煽る。 どれだけ劣勢に立たされようと、体の奥底まで虐げられようと、俺を睨みつけて、爪を立て、死に物狂いで抗って。 「何か思い出しそうなのに……クソ、頭が割れそうだ……ッ」 過去に囚われた捕虜。 過ぎ去った悪夢なんてただのまやかしに過ぎないというのに。 そんなもの俺が忘れさせてやる、式。 「何だ、やめろ……ッ嫌だ、離せ……!!」 「抱き直してやる、式」 「ッ、やめ……何やって……!?」 寝台に打ち倒された裸身の式は目を見開かせた。 毛布を引き剥がして隹がのしかかってきたかと思えば、何の躊躇もなく股間に顔を埋めてきて。 牙持つ口内にペニスを咥え込まれた。 唾液滴る、まさかの口淫を念入りに施された。 器用に蠢く舌先にカリ首を、裏筋をしつこく愛撫され、竿までしごかれて。 連続して吸い上げられたかと思えば鈴口を割るように舐られて、先走りを啜られ、瞬く間に屹立を強いられて。 「何のつもり、だ……ックソ吸血鬼ッ、やめッ、んんッ……あ……!」 式は何度も仰け反った。 股間に顔を埋めた隹を引き離そうと、月と同じ色をした髪に片手を伸ばすが、正に貪られて、ろくに力が入らずに。 むしろ押しつけるようにしてしまう。 拷問よりも不慣れな快楽に理性が解れていく……。

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