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ジジイ松田
「さとし、お前、なんで床に転がってるわけ?」
結局何も答えが見つからないまま、床を二転三転している恥ずかしい姿を松田に目撃された。そろそろ腹も減ってきた~と思ったところに救いの神降臨!
ありがたいことにビ一ルを買ってきてくれて、なんか勝手に色々食うもんをつくってくれた。松田様サマだ。
腹が膨れて幸せ気分だったところに、松田が言ったんだ。
「それでだ、さとし。村井(コウタロウのこと)をどうする?」
え~~?意味がわかんないんだけど、なんで松田がそんなこと俺に聞くのかな?
「なんでコウタロウなわけ?」
「さとし、すっとぼけるのもたいがいにしろよ。お前が思い悩むのは村井のことだけだろう」
そんなコトないと思うけど?マツダクン
「俺は面倒なことが嫌いなんだよ、それでなんだ?こうブチブチ出口の無いやつらを見ているは苦痛なんだよ」
??? さっぱりです。苦痛?
「さとし、俺はずっと思っていることがあるんだ」
「なに?」
「俺からみて村井はまるでかわいくないぞ」
ええ~~~~えええ~~!それは納得できないですよ、松田サン!
「ちょいまて、天使ちゃんみたいにかわいいだろう?」
「いや、まるで」
速攻の即答……嘘だろ?
「だって女子もコウタロウのこと、かわいいっていうじゃんか」
「女は道端の水たまりにだってカワイイっていう人種だ」
「なにそれ!わかんね~~よ」
「さとし、よく聞け。村井のことを無条件にかわいいといっているお前はおかしい。俺が「かわいい~」と思うのは女子だ、つまり異性だ」
「だから俺はゲイだってば」
「そうじゃない。村井のことを心底かわいいと思う意味を考えたことがあるか?俺はそれを言いたいの」
へ?え?
「タッキ一を見て、あ~かわいいとか思わないだろ。村井は少し似てるよな、タッキ一に」
「マツダ意味わかんね」
「わかった。ちゃんと言うぞ。さとし、お前は俺が女子をカワイイと思うのと同じようにコウタロウのことを見ているってことじゃないか?」
なんか聞きたくないことを言われているような気がする。このままこの話題を続けないほうがいいと感じるんですけど。
「ずっと小さい頃から知ってんだぜ。今はデカイけど小さい頃は本当にかわいかったんだ」
「でも、お前今でもかわいいんだろ、あいつが」
「うぐぐっ……ハイ」
「そう思うのは何故なのか、ちゃんと考えてみろよ」
松田は言うことはマトモだから、たぶん今大事なことをいってるんだろう。でも、今コウタロウのことをこれ以上考えても何もでてこないと思うんだよね。
「俺はさ、コウタロウだけは大事にしなくちゃいけないんだ。あいつは綺麗なままでいて欲しい。かわいいコウタロウでいられるように守るって随分前に決めたんだよ」(ぶち壊しちゃったけど)
松田はおかしくてたまらないって顔でビ一ルをグビグビ飲んだ。
「そこまでお前がめでたい奴だったとは思わなかった」
「そんなにおかしいか?俺恥ずかしいこと言った?」
「言った!言った!ついでに言わせて貰うけど、俺は男相手に「守ってやる」なんて思ったことはないぞ。俺がそう思うのは、まあ、彼女くらいだな」
松田は声をあげて笑っている。俺はこれ以上考えたらとんでもないことが湧き上がってきそうだったから、ビ一ルをひっつかんで飲み干した。
明日以降に考えることにしよう。面倒なことは後回し!明日考える!
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