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さとし、座り込む
【 ♪♪♪♪♪♪♪~~♪♪♪♪♪♪♪ 】
ずっと鳴ってるな。でも今は誰とも話たくないんだよ。
外はもう暗い。戻ったときは明るかったのに、もう暗い。俺はまだ玄関に座ったまま。
【 ♪♪♪♪♪♪♪~~♪♪♪♪♪♪♪ 】
「くっそ~煩いな!」
鳴り続ける携帯を握る。
「なんだよ!」
『俺。松田』
とたんに心が揺れだす。ダメだって今俺、何も話せないし、わかんない。
『何も言わなくていい。村井から連絡がきた』
「コウタロウから?」
名前を言うだけで身体が引き裂かれそうだ。
『状況説明はざっと聞いた。お前の心配をしてた。電話してくれって頼まれた』
俺は電話を切った。松田には悪いと思ったけど、状況の説明ってなんだ?俺にはあれが何の状況なんだかわからない。コウタロウの実験の意味もわからない。
【 ♪♪♪♪♪♪♪~~♪♪♪♪♪♪♪ 】
ウザイ、ウザイ、ウザイ!!
「ごめん、松田。俺今話したい気分じゃない」
『さとし、俺だ、サトルだ』
「!!ウザイ、俺に構うな!」
『おい、電話切るなよ。一言言わせてくれ。あの状況で、俺と彼氏を置いて自分が出て行くか?』
「コウタロウは彼氏じゃない!」
『そのわりには相当取り乱してたけどね、お前』
「電話、切ります」
『あの美人さんは悪くないよ。話を聞いてやれよ。お前は聞かないとダメだ』
「は?あんたの指図はうけません」
『まあ、スキにしろ。俺はちゃんと言ったからな。あと服は新品買って返すから。それと、俺まじでお前に惚れたかも』
ブチ
電話を切った。電源も落とした。何もかもが煩わしい。気力がわいて来ないから玄関にすわりこんだまま。
少し寒くなってきた。トイレに行きたくなったので、ようやく靴を脱いで腰をあげる。話を聞いてやれって眼鏡、お前は何様なんだ。まったく。
トイレをでてどっと疲れた俺はベットにもぐりこんだ。
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