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第24話
目の前で崩れ落ちた一之瀬は
火が出そうなほど頬を染め
はぁ……はぁ……と乱れた呼吸のまま
口をパクパクさせてる。
一之瀬は全く声になっておらず
挙句……慌てて立とうと
身体を起こすも
腰が抜けたのかペタリと
座り込んだ。
まるで小動物みたいに
身体を震わせアワアワしてる姿が
めちゃくちゃ面白い。
こいつ……思ったよりツボ!
一之瀬は予想以上に
俺の心に燻るSっ気に火を点けた。
もう少し虐めてやるか!
「しょうがねーな」
俺はわざと面倒くさげな
態度で軽々と一之瀬を
抱き上げれば
「わ!ちょ……」
当然、一之瀬は
何が起きてるか把握してないから
抵抗するわけで……。
「暴れるな!大人しくしてろ」
俺が窘めると
一之瀬は更に顔を真っ赤にして
暴れるのをやめた。
素直だな?
俺は一之瀬が大人しくなったのを
見計らい黙って部屋に上がると
広いとは言えないリビングに
あるソファへと転がした。
「ど、どう言う……」
「うるせーな〜
この部屋乾燥してね?
喉乾いたから勝手に水もらうぞ」
俺が言葉を遮るように
喋ると目の前の顔が
呆気に取られている。
すると俺の腕を掴みにかかるが、
抜けた腰は一之瀬の自由を奪い
ソファから見事に転げ落ちた。
「黙って座ってろ」
目の前の光景に
思わず吹き出しそうになるも
やべっと思ってギリギリで
背を向けてニヤリとした。
背後にいる一之瀬は悔しげ。
俺は緩む口をなんとか
抑え、一之瀬を
放置して、冷蔵庫を
開けると水をごくりと飲んだ。
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