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第46話
部長が洗い物を終えてオレの隣に座る。
オレは一人ドキドキしてしんどい。
「風呂入る?」
えっ!?あ、まあ入りたいけど。
「洗ってやろうか?」
な、何を言い出すんだこの人は。
子供じゃあるまいし。とてもじゃないけど
恥ずかしくて一緒なんて無理。
「ひ、1人で入れます」
この時、きっと情けない顔していたんだろうと
思うけど絶対一緒なんて嫌。
「あ、そう。とりあえず服は貸してやる。
まあ俺のじゃでかいとは思うけど」
それって泊まれって事?
でも正直、腰も痛い。車のない
オレには到底帰れる気がしない。
「動けないなら入れてやるぞ」
いつまでも動かずにいる俺に部長は
そんな事言いだして、オレは痛む腰を押して
ようやく動き出した。
「だ、大丈夫です。お風呂お借りします」
せっかく引いた顔の熱はまた
オレの顔を熱くさせた。とにかく
一回お風呂に逃げよう。それからの事は
入りながら考えればいい。
オレは脱衣所に行き、
身に纏っていた服を脱ぐと、
部長が残した証がいたるところに
残されているのを鏡越しに知る。
オレは一人真っ赤になりながら
風呂場に入ると、吐き出した物で
汚れた身体を流した。
「……聖夜……」
無理矢理呼ばされた名前。
改めて呼んでみると恥ずかしさに震えた。
「おい、服ここにあるからな」
扉一枚隔てて部長の声。
オレは思わず湯船に鼻まで浸かった。
き、聞こえてないよね今の。
「おい、生きてるか?」
返事をしないオレに
部長は扉を開けようとしている。
「だ、大丈夫です。置いておいて下さい」
オレの返事に、あっそうと言いながら
扉は開く事なく部長は部屋へ戻っていった。
なんでオレ一人がこんなにドキドキしなきゃ
ならいないんだ。ズルいよ……。
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