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第49話

 次の日、目を覚ましたのは 朝の八時を少し回ったところ。 なんだかんだとぐっすり寝れた。  ただ、目を開けた瞬間、 イケメンな顔が目の前にあって 朝からドキドキ。オレはしっかり 聖夜の腕の中と言うわけ。  う……近い。そう思いつつ まじまじ顔を見ると肌はツルツルで 睫毛は妙に長い。そう言えば聖夜って 髭薄いのかな……全然ない。 まあオレもないんだけど。 「綺麗だな……」  思わず零れた言葉。その瞬間、 オレを抱きしめる聖夜の腕に力が入ると、 待ったなしで唇を塞がれた。 「んっ……んん……はぁん」  突然の事にパニック。 しかし身体は完全にシーツに 縫い付けられて身動きすら取れない。 「んっん……ぁん」  舌を絡めとられジュルっと吸われる。 息継ぎすら出来ない濃厚なキスを されたまま太腿撫でられた。 「ぁん……っん……ん」  チュルっと音をたてようやく離された 唇はどちらともつかない銀色の糸を引く。 「ぶ……聖夜……」  思わず部長と呼びかけると 鋭い目つきで睨まれる。怖い……。 さっきから何も話してませんけど。  怯んだオレはギュッと目を瞑ると 首筋に生温かな感触を感じた。 「ひゃ……」  それが聖夜の舌だって理解するのに数秒。 気付いた時にはシャツのボタンを外され 胸元が露わになった後だった。  く、食われる……。がしかし、 さすがオレ……聖夜が胸元にキスを落とした 瞬間にお腹が鳴った。 昨日に引き続きまたしても……。 我ながら色気なし、ムードぶち壊しで オレを覗き込む聖夜の顔は呆れ顔。 「す、すみません」  違う意味で穴があったら入りたい。 聖夜は少々溜息を吐いてベッドを降りた。 「ど、どこいくんですか?」  自分でもなぜ訊いたと突っ込みを入れたいが すでに遅し。ドアノブに手を掛けてた聖夜は くるっとこちらを向くと明らかに不機嫌そうに こう言った。 「朝飯」  ですよね……すみません。 オレは恥ずかしさと申し訳なさに 布団を頭まで被った。

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