部長は抵抗しない俺を 腕の中に抱き込むと、 重なった唇は更に深まり 濡れた音が耳をついた。 ｢んっ……んぅん……っん｣ 彼の舌が俺の口内を まるで生き物のように 這い回り、唇の隙間から漏れる 声は甘ったるい。 舌先で上顎を舐め、 再び絡みついた舌を吸われれば、 俺の下半身が疼く。 ｢んぅん……ぁっ……んぅ……はぁ……ん｣ ま、まずい。相手は 男なのに身体が熱を帯びる。 こんな濃厚なキス、 俺には経験がないから もう、限界…………。 そう思った瞬間、 ようやく部長の唇が離された。 ｢はぁ……はぁ……｣ 俺の荒い息遣いをよそに、 部長はふーっと一呼吸おくと、 いつもはムスッとした 綺麗な顔を緩め微笑んだ。 ドクン────。 至近距離でそんな顔 するなんてズルイ……。 俺は自分の頬がカッーと 熱くなるのを感じ、 ぷいっと顔を逸らした。 ｢気持ちよかったろ？｣ こ、この人は……。 涼しい顔して平気で 恥ずかしい台詞。 軽く胸元を叩くつもりで 振り上げた俺の手は 簡単に捕まれ、 部長の顔が近づいた。 ｢……湊｣ 綺麗な顔は耳元に下り、 先程まで重なっていた 唇が俺の名前を囁くと、 俺はまるで金縛りにでも あったように 頬が熱くなり固まった。