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第30話

 相変わらず涼しげな表情で、 俺の瞼や鼻にキスを落として、 僅かに唇に触れた後、 首筋へと下りていく。 「ん……っ」 柔らかな感触が首に触れた瞬間、 俺の全身がゾクリと 反応し、下半身に覚えのある 疼きを感じる。 ま、まずい——。 「ぶ、部長……ま、待ってください」 既に俺のネクタイは器用に外され、 第一ボタンが開けられている。 「なんだよ」 俺が知っているムスッとした声。 部長は明らかに 面白くない表情でこちらを向く。 「あの……わかってます? 俺、男ですよ?」 俺のごく当たり前の発言。 部長は暫く黙った。 「な、なんで俺なんです? ぶ、部長は仕事も出来るし、 カッコいいし、いくらでも相手 いますよね……」 自分で口にした事だけど、 なんか凹む。平凡で仕事も まともにこなせない俺。 しかも男……。 そんな俺がなんでこんな 絵に描いたような人に 好きだなんて……。 「だから何?」 自然と項垂れる俺に、 部長は呆気らかんと答える。 「お前が男だから?俺が からかってると?それとも 気まぐれな遊びとか そう言いたいわけ?」 「…………」 俺は部長の言葉に なにも答えられない。 「お前の言う通り 相手なんかいくらでもいる。 遊びなら、美人な女にするさ」 ほら……やっぱり 女の子の方が……ん?? 「男なんて遊びにもならない。 てか勘弁だろう」 んん??じゃあ俺は? 思わずポカンと口を開け 馬鹿面を見せる。 「ゴホン……。理由なんか俺にも 分からねーよ。ただお前が可愛いと 思うし、どんな反応するのか知りたい。 触れたい。そう思うだけだ」 そう言った部長の顔は ほんのり赤く染まり 俺から視線を外す。 「ぶ、部長……」 「い、いつまでアホ面してんだ、 信じないんならお前のを 咥えて飲めば理解するか?」 な、何を言い出すんだこの人は。 俺は思わず逃げ腰体勢。 だけど、あっさり捕まり 組み敷かれると、ズボンを あっという間に脱がされた。

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