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第10話
湊side
朝の光がカーテンから差し込み
雀が鳴いている。
結局昨日の一件で
一睡も出来ずおまけに
二日酔いで頭はガンガンする。
「はぁ……どんな顔で会えばいいんだよ」
とりあえず頭痛薬を飲み
重たい身体を引きずりながら
会社へと出社。
「おはようございます」
意外とみんな出勤が早くて
いつもの様に挨拶して
自分の席に座る。
「おはよっ」
勢いよく背中をパンと
叩かれて挨拶して来たのは課長。
声が頭に響き思わず頭を抱えた。
「なに、二日酔い?まあ
かなり飲んでたしな」
「もう少し声のトーン落としてください」
課長はわりぃなんて言いながらも
顔は笑っている。
それでも俺が気になるのは
やはり部長────、
課長とやり取りしつつ
部長の席に視線を向けると
いつもの様に険しい顔で
パソコンに向き合ってる。
「…………のせ、一之瀬?」
「は、はい」
慌てて部長から課長に
視線を戻すと何やらニヤリ。
「昨日あの後アイツと
何かあった?」
す、鋭いです課長。
でも絶対言いたくないです。
「な、何にもないです、
仕事しないと────」
俺は動揺が隠せない中
パソコンを起動させる。
「ふーん、まあいいや
仕事頑張れよ」
そう言ってパンと再び
背中を叩かれると
課長は席に戻って行った。
「はぁ…………とりあえず仕事仕事」
気にならない訳じゃないが
今は仕事だと自分に言い聞かせ
俺は軽く頬を叩いて資料作りに励んだ。
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