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第11話
聖夜side
朝からずっと視線が刺さる。
しかも1人だけじゃなくて
もう1人俺に視線を送るやつ。
あのタコスケ!!
睨みを利かし涼介の方を
見るとニヤついてる。
一之瀬から何かを聞き出したのか?
くっそ────自分でした事とは
言え不覚────仕事がやりづらい。
昨夜も結局穏やかな眠りとは
程遠く、頭をクシャクシャしながら
仕事で気を紛らわせたまま
朝を迎え今に至る。
朝から晩まで仕事────、
自分でもここまで仕事漬けだと
笑えない。俺は部下の企画書に
全て目を通すと
昨日出来上がった自分の企画に
取り掛かる。
「あ、資料がねー」
独り言も少々不機嫌だ。
俺は席を立って資料室へ向かう。
「はぁ………………」
視線から免れたのと
いつもの様に集中出来ない
自分に溜息が出てしまう。
本当に俺はどうした?
あの普通過ぎる一之瀬に
頭が完全に振り回されてる
じゃないか…………。
「俺大丈夫か?」
つい言葉にすると
すれ違う社員に危ない奴的な
視線を食らって
俺は緩んだ意識を仕事へと
向ける為少々埃臭い
資料室へ脚を踏み入れた。
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