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第12話
湊side
ふと気付くと部長の姿はなく
なんか気になるけど、
自分の仕事に集中と思いきや
「一之瀬、悪いんだけど
この企画の資料取って来てくんない?」
「は、はい」
内心なんで俺?とか
思いつつ先輩の指示に
従い俺は資料室へ向かった。
資料室の扉をガチャと開けると中は
埃臭いし薄暗い。
とりあえず俺は先輩に言われた
通りの資料を探す。
「どこだろ……」
小声でブツブツ言いながら
棚を物色してると
奥の棚の向こうに人影。
誰だろ────、
棚の隙間から人影を追うと
一箇所で動きが止まる。
ここじゃ顔見えないな。
俺は棚の資料に隙間を作り
チラりと見るとそこにいたのは
紛れなく部長だった。
俺は思わずその場を離れようと
身体を翻したが、
待て待て!なんで俺が逃げる
必要がある?
寧ろ昨日の行為をはっきりさせる
絶好のチャンスじゃないか!
俺は両手でバンと1発叩くと
まだ俺の存在に気付いていないだろう
部長の元へと突進して行った。
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