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第14話
逃げられない…………。
いやなぜ逃げる?
あのキスに深い意味はないんだ。
そうだない────────。
落ち着け俺、
「キ、キスの意味はない」
追いやられた体勢から
俺はグッと立ち上がり
冷静に言葉にする。
がしかし、
「……………………はぁ?」
一之瀬の反応が予想をより
俺の上を行きビクッとした。
「なんですかそれ!?
意味ないとか、部長は
あんな事誰でもするんですか?」
な、なんだと!?
するはずがないだろう。
なんなんだこいつは。
「お前がうるさいから
塞いだんだ、あれは事故だ」
「…………………………」
よし怯んだ。俺は今だと
スーツを整えいつもの自分を装う。
「今は仕事中だ、話なら後にしてくれ」
俺は何事もないように
スーツに付着した埃を払うと
必要書類を手にしてその場を
離れようとする。
一之瀬は無言だったが
後ろ姿は僅かに震えてたようにも感じた。
瞬間モヤモヤした感情が溢れたのは
気のせいとは流せない。
俺は資料室を出ると出たのは溜息。
なんで俺があいつに振り回されるだ。
そう思いながらも
俺はオフィスへと足早に戻る。
この気持ちは一体なんだんだ────。
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