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第15話
湊side
あれから俺は間をおいて
オフィスに戻った。
俺は部長に視線を送れず
溜息混じりに仕事をこなす。
けれど────────、
なぜか仕事が上手く進まない。
なぜ────────?
結局その日、殆ど仕事は手につかず
あっという間に退社時間。
「はぁ………………」
俺は深い溜息を吐き
パソコンの電源を切って
荷物を手に席を立った。
チラリと部長に目をやれば
まだパソコンと睨めっこしてる。
俺はとりあえずその場で
残っている社員に挨拶をして
トボトボとオフィスを後にした。
俺がエレベーターで1階まで
降りて会社を出たところで
背後から俺を呼ぶ声がする。
「一之瀬お疲れ」
明るくて優しい声は課長。
なんだかその姿を見たら
モヤモヤした感情が溢れてきて
俺はいつの間にか涙を流していた。
「一之瀬!?どうした?
具合悪いのか!?」
目の前の課長は大慌て。
そりゃそうだ。なんで
泣いてるのか俺にも
分からないんだから。
俺は涙を拭い頭を横に振るも
涙が溢れて止まらず
課長は俺を連れて人気のない
場所へと移動した。
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