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第35話
どれくらい走っただろうか?
三十分掛からないくらいで
とある駐車場に着き車が停車した。
「降りろ」
相変わらずムスッとした声。
オレは部長に言われるがまま
車を降りると、部長は
スタスタとエレベーターへと
歩いて行く。
「ちょっ……待って下さい」
ここが何処なのかも語らず
オレは部長の後を追い
お互い無言のままエレベーターは
八階を示して動き出した。
ちらっと背後から部長を
見ると不機嫌そうな表情。
これじゃ声すら掛けられない。
あっという間に上の階に
着くと彼はスタスタと
エレベーター降り一番角に
当たるであろう部屋の前で
足を止めた。
「あの……部長、ここは?」
「いいから黙って入れ」
うう……めっちゃ機嫌が悪い。
しかしさすがに鈍感なオレでも
ここが何処なのかは分かった。
玄関先でモタモタしているオレに
更に不機嫌になった部長は
舌打ちしながらオレの腕を掴んで
強引に部屋の中へと連れ込む。
「ちょ、部長……っ……わっ」
もはや力づくだった。
ここは部長の部屋。
だけど周りを見る余裕なんてくれない。
オレは強引にリビングのソファへと
投げ出されると、有無言わさず
部長が上に覆い被さってきた。
こ……これは……。
もしかしてもしかする?
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