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第36話
部長の思わぬ行動に
オレは反射的に逃げようとしたが、
予想以上の力にソファに
縫い付けられてしまう。
「ぶ、部長……っ!」
「お前が悪いんだ」
なんで? オレ何もしてないけど。
ソファに押し付けられた状態で
部長に視線を向けると、
何故かいつもの余裕を感じられない。
「……ぶちょ……」
部長と言いかけて柔らかな
感触が口を塞ぐ。
キス? と思った瞬間には
もう部長の舌が
自分の舌を絡めとり
吸い取られていた。
「んっ……んん……ふん」
待って……駄目!
オレのそんな気持ちを他所に
部長の舌は口内を這い回り
頭は白くぼやけていく。
「んっん……んん……ふぅん」
抵抗も虚しく口内を犯され、
合わさった隙間から濡れた音と
自分の鼻に掛かった甘い声が
漏れ出した瞬間、
スルリとネクタイが外された。
「んぅん……ん」
言葉に出来ず出る音は
甘ったるい声だけ。
抵抗すると力ずくで
抑え込まれ唇が離された。
「はぁ……黙って抱かれろ!」
部長の切羽詰まった声と表情、
初めてみる。お互い乱れる
呼吸の中、オレは抵抗をやめた。
「……湊」
いつも余裕たっぷりの
この人が全然冷静じゃなくて
普段呼ばない名前で囁かれ
クラっとする。
それでももう待てないと
彼はオレの耳に舌を這わせながら
器用にシャツのボタンを外すと、
首筋にむしゃぶりついた。
「あっ……んん」
緊張と羞恥心で
どうにかなりそうだった
オレは呆気なく彼が
与える快楽に堕ちてしまう。
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