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出逢い 2
──それは、偶然だった。
周りには誰もいなくて、自分の歩く音しかしなかったからかもしれない。
視界の端に映ったモノが、妙に気になった。
ビルとビルの小さな隙間に、蹲っているソレ。
「…ぁ?」
よく見ると、それは人間だった。
極寒の冬だというのに、半袖シャツに短パン。
しかも、足は裸足だった。
…孤児か、それとも何処かから逃げてきたのか。
どっちにしろ助けるつもりなんて更々ない。
──と。
…いつもならそう思っていた。
だけど、何故かそいつを放っておけなかった。
そいつの前にしゃがみこむ。
「…おい」
びくり、とそいつの肩が震える。
それでも、ゆっくりと顔を上げた。
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