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出逢い 6

───────────────────── アパートを元にこいつについて調べてみると。 どうやらこのアパートにはもともと親子3人で暮らしていたらしい。 しかし両親によるDVとネグレクトが日常的に行われていた。 「それであの傷か…」 確かにそいつの体にはおびただしいほどの痣や傷痕があった。 「子供相手に…」 小さく舌打ちをしながら画面をスクロールする。 「え、あいつ15なの…」 新たな情報に今日1番の勢いで驚く。 まだ体が小さくて幼かったから、10歳くらいかと思っていた。 日常的な暴力とネグレクト、ご飯を十分に与えられなかったのだろうか。 家出などではなかった。 こいつ──天宮翠は、俺が思ってたよりももっともっと、過酷な環境を生き抜いてきた。 その幼い体ですべてを受け止めるのはどれだけ辛かっただろうか。 もうお前を傷つけるやつはいないと、そう教えてやりたい。 ベッドの縁に腰掛け、スイの頭を撫でる。 「翠…お前は俺が守るよ」 これが、翠を守っていくと心に誓った瞬間だった。

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