73 / 89

地獄 2

──ふ、と目が覚めた。 こうして目が覚めるのも何回目だろう。 目線の先には洗面台。 もう水を飲む気力も立ち上がる体力もない。 …そういえば最後に水飲んだの、いつだっけ まともなご飯なんて、昔過ぎて覚えてない… そもそも監禁される理由もないのに。 何で俺はこんなとこで動けなくなってんの。 ギリ、と。 歯を噛み締めたいのに、それすらの体力もなくて。 俺が、何したんだよ そう叫んだつもりが 実は口も開いてなかったことに気づいて 何故か涙が零れ落ちた。 ──惨めだな、俺 死に物狂いで生きてきた人生の終わりがこれかよ。 だっさ。 はは、と 乾いた笑い声も、声にならずに消えてゆく。 ───もう、死んだ方がましだ

ともだちにシェアしよう!