75 / 89

地獄 4

少し、意識が浮上する。 うっすらと目を開けると、自分は誰かに運ばれているようだった。 からだがふわふわする。 妙に心地よい浮遊感と温もりに 自然と心は穏やかになる。 ずっとこのままでいたい─── そう願いながら 目の前の黒スーツをぎゅっと握りしめた俺は 瞬く間に深い底へと沈んで行った。

ともだちにシェアしよう!