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歩み寄り 1

此処に来て何日経っただろうか。 数えることを辞めるくらいには長くいる気がする。 最初に比べて、若頭は暴力を振るう回数が減っていた。 というか、俺が怒らせないようにしている。 それでも毎日、あの日から俺は若頭に抱かれるようになった。 最初は全力で拒否していたけど、返される暴力が倍返しじゃなくなってきた辺りから抵抗するのを辞めた。 「…口開けろ」 「…んぅ」 遠慮なしに侵入ってきた舌が、俺を蹂躙する。 息をするのも絶え絶えな俺を尻目に若頭は大きく腰をグラインドさせた。 「んんーっ!」 勢いよく突かれた俺は目を見開いて必死に呼吸をする。 若頭の舌のせいで上手く呼吸ができない、苦しい。 「んっ、んっ、」 律動に合わせて声が漏れる。 下半身から聞こえるグチャグチャとした音に羞恥心と悲しみが込み上げた。 ボロボロと涙をこぼす。 息がうまく吸えなくて苦しい。 ただ呼吸がしにくいだけなのか、過呼吸を起こしているのか。 どっちにしろ若頭は見て見ぬふりをしていた。 俺は必死で耐える。夕方部屋に来る若頭が、朝になって俺を離すまで。 この地獄が終わるまで。 1回、あまりの長さに耐えきれずに逃げようとしたことがあった。 結果は案の定。 さらに酷いことを何時間もされたし、肩も外された。腕もヒビが入った。 …大丈夫。我慢すれば終わる。 自分が、我慢さえしていれば。 「…っ、っく、…」 そう思っているのに、溢れる涙は止まらない。 その時。 ガリっ 「…っつ、」 「…ヒッ!!」 歯を食いしばったせいで、若頭の舌を噛んでしまった。 一気に部屋の温度が下がる。 「…っあ、ご、ごめ…!」 体ががたがたと震えだした。 俺の口から舌を抜いた若頭は、動きを止めて指で舌を触る。 指には、少量だが確かに血がついていた。 若頭の瞳から情欲の色は失せ、凍てつくような色に変わっていた。 ヒュッ、と息を飲んだ瞬間 パァンと突き抜ける音が部屋に響いた。 「グッ…」 続けて2回、3回と若頭は俺の頬を張っていく。 「あ…や、やめ、」 「うるせえ」 夕方から何時間も続いてる行為に疲れきっている俺は、抵抗したくても出来なかった。 ようやく若頭が満足して辞める頃には、頬はパンパンに腫れ上がっていた。 …ようやく終わった。 意識が朦朧とする中、安堵のため息を漏らした。 瞬間 「いっ…あ゛あ゛あ゛あ゛!!」 肩を強烈な痛みが襲った。 目がチカチカする。白と黒の世界が瞬間的に交差する。 一気に全身から汗が吹き出して、上手く呼吸が出来なくなった。 …なに、これ、 噛まれてる…!? 若頭は俺の肩に思い切り噛み付いた。 そして、そのまま一部を噛み千切った。 「っっっ!!!!!!」 強烈な鉄の匂いが部屋に充満する。 鮮血が滝のように流れ、どんどんシーツに吸い込まれていった。 肩、が…っ!! 目をつぶることも出来なくて、ただ必死に呼吸をしながら、目の前の男を見つめる。 「…まだ、自分の立場がわかってないようだな」 そう呟く若頭の口は血でべったりと汚れていた。 「…っは、…はっ…、」 ひゅぅ、と器官がなった。 今度こそ殺される 歯を食いしばった瞬間、気づいたら床に倒れていた。 床に叩きつけられた衝撃でこめかみの傷口が開き、肩の傷と一緒に血溜まりを作っている。 出血多量で意識が朦朧としている中、髪の毛を掴まれて無理やり顔を上げられる。 「ここまでやってまだわかんねえのか?」 上下に激しく頭を揺さぶられる。 その拍子で、ブチブチと髪の毛が抜け落ちた。 「…オイ、返事しろよ」 「…ぅ、あ」 「返事しろっつってんだよ」 持ち上げた頭を、思い切り床に打ちつける。 脳に火花が散った後、ぐちゃ、という音が聞こえた。 「………、……っ」 真っ暗で前が見えない… 「………!………、……!」 若頭が何か言ってる、…でももう、 無理 そのまま俺の意識は深く沈んでいった。

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