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始まり 6

「…目ぇ覚めたか」 「っ!?」 突然の声に驚き、声のする方へ目を向けると。 「…っ」 真っ黒なスーツに身を包んだ、背の高い男がいた。 忘れるはずもない、あの夜にもいた男。 「…お前、」 驚いている俺とは裏腹に、冷静な顔で俺に近づいてくる男。 逃げようとして、慌ててベッドから降りようとするが。 「うわっ!?」 足枷のチェーンに絡まり、無様にも床に転んでしまった。

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