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どうしたらいい…side :詩音⑨
香川ご夫夫にちゃんとお礼を伝えたのかも、はっきり覚えてないまま、継に手を繋がれて部屋へと戻ってきた。
やっと人心地ついて今更ながら思い出すと、みんなに失礼なことをしでかしたのではないかと、青くなってきた。
「お前のご両親にも喜んでもらえてよかったよ。
詩音、いろんなことが急に進んで疲れたんじゃないか?」
継の優しさが今は辛い。謝らなくちゃ。
「…継、ごめんなさい…」
「ん?何で謝るんだ?」
「俺…ぼんやりしているうちに、大切なことが全部終わってて…継やみんなが沢山話しかけてくれてたのに、それにも答えれなくて…
先生や伊織さんにきちんとお礼も言わなかったかもしれない…ごめんなさい。」
継は俺を膝に抱くと
「謝る必要はないぞ。この数日で、いろんなことがあったんだ。
不安になったり迷ったりしても仕方がない。
お前の気持ちを考えずに、急に事を進めて悪かったな…
でも、これだけは忘れないでくれ。
俺達は身も心も結ばれたんだ。
詩音を愛してるよ。」
申し訳ないのと嬉しいのと、複雑な気持ちを抱えたまま、俺は継の胸にそっと頭を寄せた。ぎゅっと腕の中に抱き止められる。
この心地よい温もりを独り占めしてもいいのだろうか?
「継…俺…ずっと側にいてもいいですか?」
「何言ってんだ!?一生…いや、生まれ変わっても側にいろ!
俺は…お前だけだよ。」
優しいキスが額に落ちた。
絡み合うお互いの体温と匂いが心地いい
…
「詩音…お前、正直だな…」
?????
頭に並ぶクエスチョンマーク。
くくくっ っと含み笑いをしながら継がささやいた。
「お前が一言も言わなくても、溢れ出す匂いが喜怒哀楽の全てを教えてくれる…
愛おしくって堪らねぇよ…」
答えを探す間もなく唇を塞がれた。
大きく開いた目は次第に閉じていき、継の濃厚なキスに溺れていく。
遠慮がちに口を開け舌先をそっと絡ませると、奪うように吸い付かれた。
俺、たった数日で、継に身も心も作り変えられてしまった。
キスさえ知らなかったのに、この肌の温もりを知ってしまうともう離れられない。
継のことを想うだけで身体の奥がじゅんと痺れてくる。
こんないやらしい身体になってしまって…どうしたらいいんだろう…
戸惑いながらも、またキスで翻弄されて、今夜も自ら身体を開いて継を受け入れた…
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