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どうしたらいい…side :継④
やってしまった…また、やらかした…
部屋に充満する、二人のフェロモンと吐き出した欲の匂い。
満足してスッキリ爽やかな俺のジュニア。
隣には、幾筋もの涙の跡が付き、目尻にもまだ涙が溜まったままの愛おしい伴侶が、ピクリとも動かず丸くなっている。
何事にも控えめな詩音が、夕べみたいに自分の気持ちを伝えるのにどんな勇気を振り絞ったんだろう。
すぐに気付いてやれなくてごめんな。
髪を撫で、キスを一つ落とすと、その端正で美しい寝顔をじっと見つめていた。
好きだ好きだ好きだ
愛してる愛してる愛してる
離すもんか 離さない
離れていくことも許さない
この世が滅んでも絶対大切にする
心の奥から溢れ出すこの想い。
こんなに人を愛したことなんかない。
番ができたαは、みんなこんな想いをするのだろうか。
唯一無二のものを手に入れることができた。
俺は何て幸せなんだろう。
「…んっ…」
もぞもぞと動き、詩音が目を擦る。
ふふっ。何か仔犬のようだな…萌える…かわい過ぎる。
まだ寝ぼけてるんだろう。
しばらくして目が開いてきた。
瞬きを繰り返し、焦点が合ったのか大きな目を丸くして
「…っ、継!!あっ、あの…」
「うん、愛してるよ、詩音。」
「…はい…俺も、愛してます…」
最後の方は小さい声だったけど、ちゃんと聞こえてたよ。
俺の顔面がとろっとろに蕩けているのが自覚できる。
自分で言うのもなんだけどイケメン崩壊。
あー、新婚サイコー!
崩れた顔のまま詩音に抱きついて…甘ったるいキスをした。
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