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忍び寄る影①

side:詩音 出社も何だか恥ずかしい。 入社して間もないのに、番ができて結婚なんて。 オマケに相手は社長だなんて。 『一週間ヤってきました!』って看板下げてるみたいで。 確かに継に望まれるまま…いや、俺も求めてた… はあっ… ため息が出てくる… 「おーい!しおーん!出掛けるぞー」 「はいっ!今行きますっ!」 慌ててジャケットと鞄を掴み、継の後を追う。 昨日、出社は電車で行くと言う俺を制して継が真剣な顔をして言ったのだ。 『お前はもう俺の伴侶だから。 どこで誰に狙われるかわからない。 だから、できるだけ俺と一緒にいて。 俺が無理な時は誰かについてもらう。 一人にさせないようにするから。』 それを聞いた時に、改めて継と、その番となった自分の立場を理解した。 生まれた時からSPがつく程の特別な性。 ただでさえ特殊なのに、新進気鋭の会社社長の伴侶ともなれば、会社を我が物にするために利用しようと、良からぬ思いを抱く者も出てくるかもしれない。 リスクは最小限に押さえなければ。 継の邪魔だけはしたくない。

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