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詩音の怒り②
「………せ…………ない……」
「ん?詩音?怖かったよな…だいじょ」
継の言葉を制して俺は思わず叫んでいた。
「許せないっ!…俺達Ωを何だと思ってるんだっ…
番を愛し愛されて、その人だけを見つめて…ただそれだけが幸せで…
なのに、なのに…お金儲けのために身体も心もズタズタにして、人の命まで奪うなんて…そんなの絶対に許さないっ!」
激昂する俺を継がぎゅっと抱きしめてくれる。
その温もりを離したくなくて、香川先生や桐生さん、篠山さんがいても、恥ずかしげもなくその背中に手を回して抱き返し、わんわん泣いた。
その場にいた誰もが黙っていた。
番から引き裂かれ痛ぶられ命まで落とし、また無理矢理に手篭めにされた被害者達を思い、それぞれの番を想いながら…沸々と湧き上がる怒りで一杯になっていた。
しばらくして泣き止んだ俺は、継の胸から離れて言った。
「桐生さん…逮捕、できないんですか?」
「あと一歩、決定的な証拠が欲しいんだ。
三ツ矢だけじゃなく、バックの親玉を抑えないと、第二第三の三ツ矢が出てくる。
繋がってる奴らが揉み消そうと必死になってるからね。」
「現行犯逮捕ですよね…じゃあ、囮捜査しましょう。
俺が囮になります。
俺はスーパーΩだから、いいカモだと食いついて来るはずです。
餌にはぴったりですよ。」
「はあっ!?詩音、何言ってるんだ!?
バカなこと言ってるんじゃないっ!二度とそんなこと言うなっ!」
「継…絶対に俺を守るって言ってくれましたよね?
俺は、継を信じています。
それに…このままでは絶対に許さない。
そんな奴らが のさばってるなんて…絶対に。」
「確かに何度もそう言った。今でもその気持ちに偽りはない。
だからって、どうしてお前を危険な目に遭わさなければならないんだ?
俺は反対だ!」
「桐生さん、組織を潰すチャンスですよ!
俺、何でもしますっ!」
「桐生…下手なこと言ってみろ…お前を殺すぞ。」
俺を抱きしめて威嚇する継を見て、桐生さんがため息をついた。
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