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詩音の怒り⑧
右手は後口、左手は胸の粒を刺激しながら、継が声のトーンを落としてささやいた。
「…詩音、静かに…大きな声を出すと篠山さんが来ちゃうよ。
こんなに濡れて…かわいい…
これ、何とかしないと午後からの仕事に差し支えるだろ?
だから…ね?」
継の指の動きはますます俺を発情させ、身体も心も侵食していく その甘い言葉と匂いに、俺は…落ちた。
「…継…早く…早く…きて…お願い…」
微笑んで、ちゅっ と額に口付けた継は、素早く自分のベルトを外し、猛って天を向く大きなモノを取り出し、ぐりぐりと俺の蕾に擦り付けると、一気に押し入って中に入ってきた。
俺が悲鳴を上げる前に唇で塞がれて、俺の声は口の中でくぐもり消えた。
ぐちゅりぐちゅりと音を立てて、俺の中で蠢く継。
俺が感じるところを剛直な竿でごりごりと擦られ、それだけで射精しそうになる。
もうすっかり馴染んだ行為に身体は喜んで開いていくが、少しばかり残る理性がストップをかける。
「んむっ、んんーっ、んんっ」
ぐちゅっ ぬちゅっ ぬちゅっ
絶え間ないイヤらしい粘着質な音が耳に入り、恥ずかしさのあまり身体が火のように火照る。
継がハンカチを取り出して、俺自身に被せた。
「詩音…いつイってもいいよ。
今は…これくらいにしておこうか…
ほらっ、イけ、詩音!」
一際強く抉るように突き上げられて、呆気なく俺はイってしまった。
乱れた息と大きく動く肩。
しばし呆然として、自然と溢れた涙が流れるままに、ぐったりと横たわっていた。
継はさっと身支度を整え、俺の汚れた身体の始末を手際よく終えると服を着せ抱き寄せた。
相変わらず甘い匂いに包まれたが、俺の中に何か燻ったものが生まれていた。
なぜここで?なぜ今?
ちゃんとTPOは弁えてもらわないと。
俺は…継の性欲処理のための存在?
違うっ!
感情のまま、継を煽ってそういう行為に至ったのは俺のせいだ。
っていうか、俺が継を誘ったんだ!!!!!
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