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襲撃⑥
後のことはお任せ下さい…と、篠山さんは にこやかに去って行った。
二人きりになって、ようやく人心地ついて身体の力が抜けたような気がした。
「詩音…俺が目を離したから…ついててやれなくて…怖い思いをさせてすまなかった…」
俺を抱きしめながら継がささやく。
ふるふると首を振ってしがみ付き、大好きな匂いに包まれる。
恐怖もいつか消え去り、次第に心が落ち着いていくのがわかる。
なんて幸せなんだろう。
もう、この男 なしでは生きていけない。
「継…大好きです。愛してます…」
心の声が口をついて出てしまった。
継がハッとした顔をして、その後すぐに満面の笑顔になった。
途端に濃くなるフェロモン。
どちらからともなく合わさった唇が熱い。
触れる胸も腕も、どこもかも、熱い。
いきなり舌を滑り込ませてきた継は、くちゅくちゅと音を立てて俺の口内を犯し始めた。
「んっ、んむっ、んっ、んー」
飲みきれず溢れていく唾液が、口の端から喉へと落ちていく。
ふっと俺の唇から離れた継の舌先が、それを追って下から上へ舐め上げる。
「はぁっ…ん」
背中をぞくぞくと甘い痺れが駆け上がり、思わず上体が仰け反ってしまう。
気付かぬうちにネクタイを取られ、ワイシャツのボタンも外されて、アンダーシャツの上からカリカリと両方の乳首を弄られていた。
喉元から降りてきた熱い唇で、布越しに吸い付かれ、甘い吐息が加速する。
妖しく揺れ動き始めた腰を掴まれ、動きを止められた。
どうして?なんで?
潤んだ目で抗議すると
「この続きは…ベッドで…」
と意地悪く微笑まれた。
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