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襲撃⑦
狙われ、襲われたことも、これから起こるであろうことも、もうどうでもよかった。
目の前の愛する伴侶に抱きしめられ、余すことなく身体中に口付けられ、ちりっと皮膚に痛がゆい感覚が増える度に『あぁ、また赤い花が咲いているのか』と、気が変になりそうなくらいに昂ぶっていた。
弾け飛ぶ二人のフェロモンが、一層その感情を煽っている。
「詩音…俺から離れるな…必ず、必ず守ってやるから…愛してるよ…」
さざ波のように、繰り返し繰り返し耳元で呪文のようにささやかれる。
俺はただひたすらに継の名を呼び、感じるままに継の愛撫に応えて身体を蠢かす。
俺自身も後口も、愛液で しとどに濡れ、そこからも花が虫を誘うような甘ったるい匂いが溢れている。
継の長く男らしい指が惑うことなく蕾をこじ開け襞を吸い付かせて、奥へ奥へ進む、それを嬉々として誘い込む俺の身体。
俺のどこを触れば感じるのか、継はすっかり熟知してしまっている。
焦らすように攻められ、恥じらいを捨て本能のままに喘ぎ啼く。
その声で継がまた興奮の度合いを増し、俺をますます絶頂へと誘 っていく。
「あっ…あぁ、指、指じゃいやっ…継が、継が欲しいっ…お願い、奥までちょうだいっ」
指だけで達しそうになって、涙声で懇願した。
かわいいやつ…ふっと笑うと指を抜かれ、次の瞬間、ものすごい圧迫感を伴って一気に固く熱い剛直の棒が入ってきた。
「あぁっ」
奥までみっちりと埋め込まれた熱量に身体が震え、涙が止まらない。
俺の柔らかな襞で包まれて、ドクドクと脈打つ伴侶の楔は、そのまま動こうとはしなかった。
動いてほしくて焦れったいのと何かあったのかと心配で、そっと目を開けると、目の前に愛する伴侶の顔があった。
「詩音が震えて泣いてるから…落ち着いたか?
もう、動いてもいいか?」
こくこくと頷くと、限界だよ…と呟いて俺の膝を折り曲げた。
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