105 / 829
尾行!?②
継は、はぁーーっ と特大級のため息をつくと、俺の顔を見つめてきた。
切なげに瞳が揺れている。
何?香川先生どうしたの?
俺?俺がどうかした?
俺も継を見つめて、言葉を掛けられるのを待っていた。
やっと口を開いた継は
「詩音…明日お前のGPS動作の調査をしたいそうだ。
お前のチップの交換をした医師は、完全に『シロ』で信頼できるから、再交換の必要はないって、香川先生が言っていた。
でも、万が一のことがあるから、どこまで電波を拾えるかもう一度調べたいって…
俺も付き添いたいって言ったんだけど『継は目立ち過ぎるからダメだ』って…
俺は詩音の側にいたいってゴネたら『伊織とさり気なく付いてこい』ってさ。
伊織さんまで引っ張り出すなんて…
それはわかるんだけど、こんな時に行動を起こしたくない。
襲撃されたばかりだぞ?
途中で何かあったらどうするんだ?
それに…明日はお義兄さんのお店に、指輪を取りに行くつもりだったんだ…」
がっくりと肩を落とした継がかわいくって、そっと両手に手を添えた。
「心配ないですよ、継。香川先生も一緒ですし。
継だってこっそり付いてきてくれるんでしょう?
伊織さんも一緒に。
それなら俺は怖くないです。」
「…詩音…俺は…俺は、二度とお前を昨日みたいな目に合わせたくないんだ。」
継の目が潤んでいる。
書籍の購入
ともだちにシェアしよう!