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尾行!?⑤

翌日、気乗りのしない風な継を急き立てて、香川先生の家に向かった。 チャイムを鳴らすと 「はーーい!」 ドアを開けたのは… ふわふわの緩いロングウェーブに花柄のワンピースの美女。 ん?えーっと…伊織さんは? この人、誰? 玄関でフリーズして目を白黒させる俺達に、その美女が 「さ、入って!俊哉さん、お待ちかねですよ。」 やっぱりこの声は…伊織さんっ!? 「「伊織さんっ!?」」 「えへへっ。バレちゃったー。 俊哉さんが、男同士だとちょっと不自然かもって。 あ、詩音君も着替えてもらうからね。 準備してあるから、こっちへどうぞ。 継君は俊哉さんと待っててね!」 ひらひらとスカートの裾を翻す伊織さんに腕を掴まれ、俺は『着替え?準備って?』と自問しながら、別室へ連れていかれた。 そこには… 胸元にフリルが付いて、ふわりと裾の広がった水色のワンピースと白のカーディガン、ショートカットのウイッグ… 嘘…俺、これ着るんですか?えっ、ウイッグ? 鏡台の前には、ずらりと並んだメイク道具。 抵抗する間もなく伊織さんのなすがままに、あれよあれよと女の子に変身した俺が、鏡に映っていた。

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