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仲直りは…①

何となく不機嫌な継の匂いを感じつつ、黙ったままの車中の空気は重くて、辛かった。 継、どうして怒ってるの?何に対して? 俺、何かした? 俺だって、しんどかったんだよ? 番のいる、お世話になってる仲人の香川先生とはいえ、初めての女装で腕を組まされて、あちこち連れ回されて。 慣れないヒールの靴を履いたせいで靴擦れして痛いし。 黙ってないで、何か言ってよ。 『お疲れ様、大変だったね』って頭を撫でてくれるだけでいいのに。 どうしてそんな不機嫌なの? 依頼を受けたのは継でしょ? 気が滅入ってもっと悲しくなってきた。 あ、マズい。 目の前がぼやけてきた。 ぽたっ 涙腺が決壊した。 一粒溢れたらもう、歯止めが効かない。 くっ…ひっく…ひっ… 必死で声を殺しているけれど、喉からくぐもった声が漏れてしまう。 目を瞑り止めようとする涙は後から後から溢れてくる… 車が停まった。 どうしよう。こんな顔で兄さんには会えないよ。 助手席のドアが開いた。 「詩音、降りれる?」 嫌だ。こんな顔で行ったら、兄さんが心配する。 勢いよく首を横に振ると、シートベルトを外されて抱き上げられた。 「嫌だっ!!」 叫びながら目を開けてみると…あれ?…兄さんの店じゃない…俺達のマンション? え…指輪は?

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