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仲直りは…②
継は俺を抱いたまま、器用にドアをロックして歩き出した。
え…今日、受け取りの約束してたって…
『行かない』ってことは…
『受け取らない』=離婚!?
そんな…
また涙が溢れてきた。
俺の結婚を喜んでくれた家族の顔が浮かんでは消えた。
みんな…ごめんなさい。俺が至らないから、やっぱりΩだったから…ごめん…ごめんなさい。
パニックになってえぐえぐと泣きながらも部屋に着き、そっとソファーに降ろされた。
継の匂いが戸惑いを知らせている。
「詩音…ごめん」
優しい声音とともに抱きしめられた。
ふわりと温かくて愛おしい匂いに包まれた。
えっ…
硬直した俺の頭を撫でて継が呟いた。
「ごめん。一日中アイツに嫉妬してた。
あんなかわいい詩音をずっと独り占めして、挙句に腕まで組みやがって。
俺が後ろからどんなにイラついて、あの野郎に飛び蹴りくらわそうかと思ってたか…
その度に伊織さんに止められてたんだけど。」
嫉妬?継が?
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