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仲直りは…⑤
あっという間にチャーハンとスープとサラダが用意された。
俺の気持ちは匂いで継にはバレバレなんだけど、何だか悔しくて、食事中ずっと黙っていた。
せめて後片付けは…と言う俺を制し、継がさっさと済ませてしまった。
俺一人が怒っててバカみたいじゃん。
何に対して怒ってるのかも、もうわからなくなっちゃってるけど。
クッションを抱え、ぼんやりとテレビを見る俺に
「しーおーん。一緒に風呂に入ろうか。」
「嫌です。一人で入ります。」
顔も見ないで速攻で断ると
「そうか…じゃあ、俺先に入るね。」
と、あっさり行ってしまった。
いつもは、しつこいくらいに押してくるのに。
もう、俺のことなんてどうでもいいんだ。
継なんて、継なんて…ばか。
また、涙が溢れてきた。
もう、やだ。
こんなんじゃ明日、目が腫れちゃう。
俺ってこんなに女々しい奴だったのか。
面倒くさいと思われたかも。
切なくってもどかしくて、また泣けてきて、クッションに突っ伏して泣き崩れた。
継がお風呂から上がった気配がした。
慌てて涙を拭い、顔を見られないようにバスルームに駆け込んだ。
その間に、涙で濡れたクッションを見つけられてたなんて。
まだ腫れぼったい目でリビングに戻ると、継はもういなかった。
あー、もう俺に愛想をつかせて先に休んでしまったんだな。
こんなことなら、俺の部屋作ってもらっとけばよかった。
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