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仲直りは…⑦
俺は…クッションを放り投げ、その胸に飛び込んだ。
この胸…この温もり…この匂い…
何よりも大切な俺の….番。
あぁ、そうか。
いくら親しい人とはいえ、この番以外の男に触れられ、長時間過ごしたことで、拒否反応が出ていたのか。
継以外に触れられることへの凄まじい嫌悪感。
番って…こんなにも強く結びつくんだ…
ふっと、被害に遭ったΩのことを思い出した。
俺は少し触れていただけでこんなになったのに、愛する番と引き裂かれ、性行為を強要され…どんなに辛かったんだろう。
命を落とすほどの思い…俺にはわかる。
絶対に、絶対に許さない。捕まえてキチンと償わせてやる。
…このままずっと抱かれていたい。
そうすれば、この嫌な感情もどこかへ行ってしまうはず。
すんすんと継の匂いを嗅ぎ続け、胸に擦り付いて離れない俺を 継は邪険にせずずっと抱きしめてくれていた。
「そろそろベッドに行こうか…」
くっ付いたまま離れない俺を抱き上げ、継が寝室へ連れて行ってくれた。
壊れ物を扱うように静かに横たえられたが、少しでも離れるのが嫌で、継の腕を掴んでいた。
「どこにも行かないから…詩音?大丈夫だよ。
もっと俺を感じて…生まれたままの姿で。」
そう言って俺を裸にすると、自分も全て脱ぎ捨て抱きしめてきた。
気持ちいい…触れる素肌が熱くて、濃い匂いでマーキングされてるようで堪らない。
その匂いをもっと纏わせるように身体を擦り付けた。
「詩音、わかってやれなくて悪かった。
こんなにお前に負担が掛かるなんて、知らなくって簡単にオッケーを出した俺が悪かった。
尾行してる最中に伊織さんが教えてくれたんだ。
『終わったら抱きしめてあげて』って。
でも、俺は自分のつまらない嫉妬でそうしなかった。ごめん。
俺の…俺自身でたっぷりと外からも中からも満たしてやるから…安心して。」
身体全体で俺を愛撫し始めた継は、これでもかというくらいに隅々まで舐め尽くし、赤い跡を残していく。
散らされる愛の証に、ヒクつく身体の痙攣が止まらない。
身体を仰け反らせ、くねらせ、引きつりそうなくらいに足の指を折り込んで耐える。
なんて気持ちいいんだろう。
このまま溶けてなくなってもいい。
継と一つになりたい。
身体も心も継に飢えていた。
継じゃなきゃ嫌だ。
継じゃないとダメなんだ。
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