122 / 829

jealousy①

side :継 香川先生の家で、きっかり15分後にリビングに現れた詩音は…完璧な女の子だった。 少し茶色がかったボブカットのウイッグに。 長い睫毛に潤んだ目。 頬はほんのりと紅を纏い、控えめなパールピンクのぷるっぷるの唇。 抱きしめれば折れてしまいそうな細いウエスト。 陶器のように滑らかな肌は、程よくカーディガンで隠されて。 それでもワンピースの裾からスラリと伸びた脚は目を引いてしまう。 「すっげぇかわいい…お前、化粧もスカートも似合うんだな…じゃあ今夜は…このままの服で…いや、ナースかセーラー服もいいか…」 思わず心の声が漏れた。 俺の脳内で、ワンピースの裾を乱した姿や、ナース姿やセーラー服で、あんあん啼いている詩音が変換され、緩む口元を慌てて隠した。 顔も赤くなってるのが自分でわかる。 かわいい…何でこんなにかわいいんだ!? 邪な妄想を重ねて凝視する俺に詩音は「継…変ですか?」なんて、裾を気にしながら引っ張って、慣れないスカートと格闘している。 ヤバい…このまま押し倒したい… ニヤつくのを我慢できず、緩みまくる顔。 このまま付いて来いだなんて、拷問じゃないかっ! すぐにでもホテルに連れ込んで… 「…い、継君…継君!!」 ハッと正気に戻って声の主に振り向くと、これまた絶世の美女が腕組みをして、微笑んでいる。 …伊織さん…あなたも美しいです、はい。

書籍の購入

ともだちにシェアしよう!