123 / 829

jealousy②

移動の車中で大体の予定を聞いた。 聞いてるうちにだんだん腹が立ってきた。 何で俺と詩音が一緒じゃダメなんだ? 俺は詩音のダンナだ! 詩音を守るのは俺だぞ? 何でアンタ(今日はもう“先生”って呼んでやるもんか)なんかと俺の大事な詩音がくっ付いてなきゃいけないんだよっ。 おまけに何だ?上から目線の駄目押しはっ! 鼻の下伸ばしやがって…伊織さん、何とか言ってくださいよっ。 思わず対抗して口走ってしまった。 「わかってますよっ! 俺の詩音だって…もう、天使ですよっ! いや、女神だっ!!」 恥ずかしそうな詩音がかわいすぎる。 萌。 萌えて死にそうだ。 ただでさえ沸騰しそうな脳内に、最後にアイツはこう(のたま)いやがった。 「さぁ、詩音君!今から俺達は恋人同士だからね!」 『恋人』だとぉーーーーー??? ぴきぴきと、こめかみに筋が立っていく。 ぶわりと怒りのフェロモンとオーラを周囲に撒き散らしていた。 心配そうな顔で俺を見ていた詩音が腕を組まされて先に行ってしまった。 血管切れそう。 アイツ、調子に乗りやがって…ブチのめす。 「継君!追いかけますよっ!」 伊織さんの声に少し正気に戻って慌てて追いかけた。 詩音の側に三人、俺達の側に二人。 さり気なくSPが付いていた。 時折、チラチラと詩音が後ろを振り向いては、俺の姿を確認している。 戸惑いと不安のフェロモンが詩音から流れてくる。 詩音、大丈夫だ。俺が付いてる。 ちゃんとお前だけを見ているよ。 くっそ。あのスケベオヤジ。 詩音にくっ付きすぎだ! 離れろ! 飛び蹴りしたいがその都度伊織さんに制止され、手…いや足を出すこともできず、視線で殺さんばかりの勢いで尾行していた。

書籍の購入

ともだちにシェアしよう!