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jealousy③
そんな俺に伊織さんが優しく声を掛けてくれる。
「継君、詩音君のためだから今日は我慢してね。」
「伊織さん…伊織さんは平気なんですか?
自分の番が、あんな…」
「ホンットに調子に乗りやがって…平気じゃないよ。帰ったら…〆る。」
笑いながら指をポキポキ鳴らしてる。
普段大人しい、この美人を怒らせると後が怖い…
あーぁ、覚悟しとけよ、香川。ざまあ。
「でも、どうしてこの組み合わせなんですか?
夫夫同士なら問題ないでしょうに。」
「継君が一緒だと、詩音君を守ろうとして威嚇のオーラ出し過ぎちゃうから。
離れてても今もガンガン出てるよ。
それに継君の側だと詩音君が安心しきって、正確なデータが取れなくなるから。
詩音君だけでは危険すぎるし、俊哉さんは…完全にオマケみたいなもんだね。
あまり大っぴらな警戒心を出さないほうがいい…それでも、どこかで誰かが狙ってる…と思っとかないと。
いくらSPが付いているとはいえ、奴らは隙を狙ってくるからね。
俺のバッグには360度撮影オッケーの高性能のカメラ仕込んであるんだ。
きっと…今日も何か写ってるはずだ。
いろんな奴らがいるからね…
狙われてるのは詩音君だけじゃないんだ。」
「えっ?ということは…まさか」
「そう。俺も。
これでも一応、スーパーΩなんだよ。
難儀な性だね。
俺も何回か攫われそうになって…その度に防衛のフル装備が増えていくんだ。
今日はバッグのカメラとGPS内蔵のピアスと、マイク付きの腕時計。
あ、それとヒールに仕込んだナイフ。」
少し淋しそうに、ふふっ と綺麗に微笑んだ。
そうか…だから余計に詩音のことを気にかけてくれるんだ。
思わず聞いてしまった。
「伊織さん…伊織さんは幸せですか?」
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