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危険な匂い②

みんな出払っていないし、ここで済ませよう。 お茶を沸かし一息ついて、食べ始めた。 何となく味気ない。 継と一緒になってから、ほとんど一人で食事をすることはなくなった。 俺の大したことのない料理にも、継はいつも大袈裟なくらい褒めてくれる。 「美味い!」 「俺は毎日こんな美味いご飯を食べれるなんて幸せ者だ。」 「詩音、俺の身体を考えて作ってくれてるんだな、ありがとう。」 そんな言葉の一つ一つに『この人の役に立ってる』『喜んでもらえてる』という、うれしさがこみ上げて、もっと美味しい物を、もっと身体に良いものを…と頑張る糧になっていた。 継がいない。 寂しい… 早く、継に会いたいな… そっと跡の付いた頸を触ってみる。 継の番であるシルシ。 それを撫でると、継が触れてくる感触と香りを思い出して、継を誘う香りがふわりと湧き出した。 マズい! 会社で盛るような真似はダメだ! 窓を開けようと立ち上がった瞬間、ハッとした。 この匂いは… 危険だ! どこかに逃げないと! 匂いで、本能で、危険を感じていた。 部屋を出ようとドアに手をかけた途端にドアが開かれ、目の前に見知らぬ男達が三人立ち塞がった。 ひくっ と喉が鳴る。 コイツらは敵だ! すり抜けて逃げようとしたところを捕えられ、鼻と口をハンカチで覆われた。 そして…俺の記憶は…途絶えてしまった。

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