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危険な匂い③
side :継
はあっ…詩音と昼ご飯を食べ損ねた…
詩音が足りない。
詩音を抱きしめてキスしないと頑張れない…
あと10分…あと10分したら、詩音を抱きしめてあの芳しい匂いを嗅いで、思いっ切りキスして…
「…長、社長!」
同行していた大橋君に呼ばれて意識が現実に戻る。
はっ!いかん、トリップしていた。
「ん?どうした?」
「受付の風間さんから連絡があって…『社長命令だ』という男達に、詩音さんが抱きかかれられて出て行ったと…
何か待ち合わせでもされてましたか?」
「何だとっ!?そんなことするわけないじゃないかっ!!!!!
詩音…詩音はどうしたんだ?」
慌てて詩音の携帯にかけるが、電源が切られているか…のメッセージが流れるだけ。
パソコンの画面で詩音の動きを追うと、車で移動しているのか、その動きは早い。
「詩音が誘拐されたっ!
目撃者と社内中の防犯カメラの確認の指示を!
香川先生に連絡を頼む!
次の角、右に曲がって直進してくれ!
後を追うぞ!」
まくし立てるように大橋君に告げると、すぐに桐生に電話する。
「おー、継どうした?飯でも食うか?」
呑気な声に
「大変だ!詩音が会社内から誘拐された!
GPSで今追跡してる!
頼む、助けてくれ!!!」
「何だと?今どこだ?」
「俺の会社のすぐ近く!
会社を背にして正面の大通りを海方向に向かってる。
今、後を追ってるんだ。
頼む、桐生、助けてくれ!!!!!」
「わかった!お前はそのまま、跡を追え!
俺は香川先生と連絡取るから!
応援部隊回すから心配するな!
継、しっかりしろよ!!!」
「頼む、ありがとう…」
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