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絶対絶命!?②
寝たフリをして、様子を伺っていた。
一体どこに向かっているんだろう。
どうやったら逃げられるんだろう。
この二人は完全に悪い人ではなさそうだけど。
…あれから、この二人はずっと黙っている。
俺が攫われたということは、そういう目的で!?
思わず身震いした。
継以外の人間に触られるなんて死んでも嫌だ!
嫌だ!嫌だ!嫌だ!
番の名前を呼びながら亡くなった子もこんな気持ちだったのだろうか…
絶対に、絶対に継の元へ帰るんだ!
継、俺はここだよ…
早く…一刻も早く継に抱きついて、あの匂いで包まれたい…
継、助けて…
隙を伺っているうちに、停車した。
ぎゅっと目を瞑り聞き耳を立てる。
「とにかく言われた通りにしないとな…」
「あぁ。俺達にも家族がいるから…」
コソコソと会話しながら後部座席のドアを開けてきた。
俺を動かそうとした二人に思い切って話しかける。
「…俺を…俺をどうするんですか?
…殺すの?」
びくうっ と身体を強張らせて俺を見つめてきた。
まさか目を覚ましたと思ってなかったんだろう。
「うへぇっ…起きてたのか…」
「おい、どうする?顔見られた…」
「このまま俺を見逃して下さいっ!
お願いっ!お願いしますっ!」
二人は困ってように顔を見合わせていたが
「すまないなぁ…俺達も…仕事だから…」
「悪く思うなよ…ごめんな。」
そして再び白いハンカチを取り出すと、暴れる俺の口元に当てて……
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