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絶対絶命!?⑤

side:継 詩音…どうか無事でいてくれ! 俺はただ祈ることしかできなかった。 本体のGPSは止まったようだ。動きがない。 途端に桐生からの電話が! 「継!香川先生の言う通りだ! 本体の動きはダミー。車の男達を拘束した。 今からソイツら吐かせるように言ってあるから。 俺ももうすぐお前と合流できるからな。 で、今どこら辺だ?」 「東桜ヶ丘5丁目…このままだと海だな。 左手に結婚式場がある。」 「東桜ヶ丘5丁目…しばらく行くと、三ツ矢が経営するホテルがあるはずだ! 名前は」 「あっ!止まった…『ホテル アンジェロ』?」 「それだっ!三ツ矢のホテルだっ! おいっ!急げ!バイク班、先に行ってくれ! 継!早まったことするなよ! 俺達が行くまで待ってろっ!」 桐生がそう言い残して電話を切った。 待ってろ、詩音。今行くからな。 「大橋!このまま真っ直ぐ!左側に『ホテル アンジェロ』がある!そこだっ!」 「はいっ!」 一段と加速して、大橋が車線変更しながらグイグイ他の車を抜いて行く。 元ヤンだという彼の運転テクニックは大したもんだ。 こんな緊急時に変なところに感心しながらも、俺はこれからの戦いで頭が一杯だった。 さぁ、どうやって捻り潰してやろうか。 桐生は待てと言ったが、そんな悠長なことはしていられない。 GPSに気付かれて、また移動させられたらもうアウトだ。 とにかく、早く、早く… 握る手のひらに爪が食い込む。 「社長!アレです!」 大橋の声が響いた。

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