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絶体絶命!?⑧
若干の雑音に混じって誰かの声が聞こえてきた。
「…ご希望の方が大勢いらっしゃるので、オークションを開催致します。」
大勢?オークション?
まさか…詩音を…くそっ、ふざけんなっ!
思わずぎりっと唇を噛み締めた。
「本日ご用意致しましたのは、なかなか市場に出回らない貴重なスーパーΩです!
番契約をしていますが、この度開発された薬を使えば、Ωは自分の番と思い込み、たっぷりと奉仕してくれますよ。
それに、まだまだ開発中の身体です。
落札された方の思い通りに調教なさって下さい!
一つだけ守っていただきたいのは、
『閉じ込めて部屋から出さない』
この一点だけです。
何分、特別なルートで手に入れたので、そこのところはオトナの事情とご理解いただきまして、よろしくお願い致します。」
ほおーっと言うため息や、何やら口々に褒めそやす言葉が聞こえるが、何を言っているのかサッパリ分からない。
何言ってるんだ?
何だ、コイツら?
頭オカシイのか?
薬を使って調教?
許さないっ
沸点を通り越して、怒りで身体が震えている。
こんな奴らに指一本でも触れさせるものかっ!
同じ空気を吸わせることすら許せない。
好き勝手になんかさせない!
司会者の、一際大きな声が聞こえた。
「皆さま、お待たせ致しました!
本日の最高級の一品です!!」
突然、うおーっという歓声が起こった。
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